ハード面で絶対はない ボランティアバス参加の奥田さん

災害ボランティアバス
支援活動について振り返る奥田さん

 台風12号による被害発生を受け県や県災害ボランティアセンターが運営する災害ボランティアバスの第1号が11、 12の両日に運行され、 新宮市と古座川町で支援活動を行った。 緊急を要したため、 東日本大震災での災害ボランティア経験者が協力。 参加した日本防災士会県支部幹事で、 県立和歌山工業高校産業デザイン科教諭の奥田恭久さん(51)に現地での支援活動について話を聞いた。

 11日昼ごろに新宮市に到着。 車が田んぼの真ん中に頭から突っ込んでいたり、 根の付いた長さ数㍍の木が削られた状態で川の護岸に流されているなど、 水害の爪痕を目の当たりにした。

 同市のボランティアセンターでは、 市内の支援ニーズを把握する段階まで運営が進んでおり、 「わずか一週間で軌道に乗っており、 対応の早さは素晴らしいと思った」 と振り返る。

 同日午後から12日にかけて、 主に一人暮らしの高齢者宅の家具を運び出したり、 畳を上げるなどした。 「畳の腐りかけた臭いに、 東日本大震災の支援を思い出した。 水の力を改めて思い知り、 『この堤防があるから大丈夫』 といったハード面での絶対はないと感じた」 と語気を強める。

 支援で回った際、 一人暮らしの女性は、 被害に遭った状況などを一通り話し、 奥田さんらボランティアメンバーが帰るころ、 「ありがとうございました」 と声を震わせ涙を流したという。 「やっぱり不安なんだと思います。 張りつめていた気持ちがふっとゆるんだんでしょう。 ただ、 床下の泥など、 家屋に住み続ける上での課題が山積みであることに変わりはない。 支援ニーズも時の経過とともに変わるので、 まだまだボランティアは必要だと思う」。

 防災士は、 被災者支援はもちろんだが、 防災意識の啓発も大きな使命。 「今は支援にかかりっきりで、 (啓発は) 後手。 災害が起きる前にどう活動すべきなのかを訴えることも大切。 自然の営みとともに生きている以上、 平穏な時にも危機感を持ち続けてほしい」 と熱を込める。

 防災士について興味のある人は、 県支部長の梅木さん(℡0736・37・3885)へ。

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