珍しい技術で金箔施す 名手八幡神社

名手八幡神社
社殿に鮮やかさを添える金箔の神紋

 このほど正遷宮があった紀の川市穴伏の名手八幡神社 (金尾義道宮司) で、 県の重要文化財 (平成20年6月指定) でもある同神社3社殿の神紋に、 日本で2人しか施工できないという技術で金箔が施された。 施工したのは、 同神社の氏子でもある同市名手市場の 「㈲家具のあづま」 の東悦子さん (58)。 改修を終えた社殿で、 ひときわきらびやかな光を放っている。

 通常、 金箔を貼る際には、 漆を下地に塗り、 その粘着力で貼り付ける。 しかし、 東さんの技法は、 木地にそのまま金箔を貼り付けるという。 漆を塗らないため木の素材や木目を生かしたりすることも可能だ。 10年ほど前、 京都市の工芸家、清水誉史雄さんに弟子入りし、 技法を学んだ。 東さんの店舗に清水さんが来店した際に、 家具に施した装飾の仕事が認められ、 門外不出の技法が伝授されることになった。

 作業期間は約1カ月。 神紋は1社の前後に一つずつ付いており、 合わせて6カ所。円の大きさは直径約30㌢で、 折り紙大ほどの金箔を約100枚使った。 当初、 彫りの跡が深過ぎたり、 板に隙間が空いていたりしていたため困難を極めたが、 ヤスリ掛けなどの周囲の協力もあり成し遂げた。

 東さんは 「皆さんに金箔独特の光を楽しんでもらい、 一日でも長く輝いていてほしいですね」 と話している。

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