珍しい女性左官職人 海南市の形見さん

女性左官職人
「父と母に感謝」 と語る形見さん

 海南市下津町方の形見さゆりさん (27) は全国的にも珍しい女性左官職人だ。 ことしで10年目になるベテランで、 夢は自分で自分の家を建てること。 「和歌山一の女職人になる」 と目を輝かせている。

 同じ左官職人で憧れの存在でもある父親の影響を受け、 18歳の頃 「人と違うことを仕事にしたい」 と建築業界に飛び込んだ。 初めは分からないことだらけだったが、 現場ではセメントを乗せる 「こて板」 を持ち、 こてを裏返す練習をするなど、 基本から学んでいった。 「周りはみんな職人さんで、 先生みたいな存在」 といい、 たくさんの人から技術を吸収してきた。 今ではできる仕事が多くなり、 ビルの壁塗りを任されるなど一人前に。やりがいも楽しさもより感じるようになった。

 現場は力仕事が中心で、 セメントが入った30㌔のバケツを運ぶなど日常茶飯事。 時には70㌔以上の資材を運ぶこともあり、 当初は現場から家に帰ると、 疲れきってすぐに寝てしまうこともしばしばだった。 持てなかった資材も今は持てるようになり、 男性にも負けない力持ちに。 高さ約40㍍の現場で作業することもあり、 度胸もすわった。

 一方、 休憩中に化粧直しをするといった女性らしさが仕事に生かされていることも。 和室の壁の上塗りなど、 きめ細かい作業が得意で、仲間からの評判もいい。 負けず嫌いな性格で、「女やから仕事ができないとか思われたくない。悔しさをばねに頑張ってきた。 今では現場が何より楽しい」 と笑顔。愛想の良さから誰にでも親しまれる存在になっている。

 形見さんは 「誇りを持って10年間続けてきたけど、 まだまだ下っ端。 この仕事ができる環境と父や母にとても感謝してます」 と照れくさそうに話した。

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