考古学の重要性紹介 地震対策講演会

地震災害と考古学
遺跡の地震痕跡などについて話す寒川さん

 独立行政法人産業技術総合研究所の招へい研究員、 寒川旭さん (64) が22日、 和歌山市中央コミュニティセンター (同市三沢町) で、 「地震災害と考古学」 と題し、 遺跡調査が地震発生時期の特定につながることなどを講演した。 (公財) 県文化財センター主催の公開シンポジウムの一環で、 約60人がメモを取るなど聴き入った。

 寒川さんは、 東日本大震災が発生した東北地方や関東地域で、 平安時代前期の869年にも大規模な地震が発生していたことを説明。 史料 「日本三代実録」 に津波による被害の状況が詳細に書かれていることに触れ、「 『想定外』 という表現をされるけれど、 歴史を調べれば地震が起こることを想定できた」 とし、 「考古学と地震対策がうまく連携できていなかった」と指摘した。

 また、 地震が発生すれば液状化現象などが起こり、 地層に跡が残るため、 地層を調べればいつごろ地震があったかを検証できると主張。 遺跡調査などで地震の痕跡が発見されることも多く、 和歌山市の紀の川沿いにある川辺遺跡にも、 684年の 「白鳳南海地震」 に対応するとみられる液状化跡が見つかっていることなどを例に挙げた。

 そして、近い将来に発生するとされる南海地震の発生の周期を振り返り、「南海地震は避けられません。 必ずきます。2030年~2050年ごろに起こる可能性が高いのでは。1854年のように、東海地震と連動することも十分考えられる」と警告した。

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