台風水害の爪痕残る 紀美野町


被害の爪痕が今も残る今西地区の山崩れ

 昨年9月に台風12号が紀伊半島を中心に甚大な被害をもたらしてから、間もなく5カ月。 紀美野町では死者など人的被害はなかったが、 同町今西や毛原地区では、 山崩れや道路半壊など大きな被害を受けた場所も多く、 今も災害の爪痕が残っている。一部の復旧工事は早ければ2月ごろから始まるが、 来年度以降まで続く所も。 住民らは「早期復旧を願うが、他の地域で苦しんでいる人らがまず優先やし…」と複雑な心境という。

 被害が比較的大きかった今西地区は東西に貴志川が流れており、 川を挟んで北側に数軒、 南側に1軒の民家があり、 南側の個人所有の山の林道が豪雨で土砂に流された。 現在も無数の木々が麓になだれ込んだ状態となっている。

 山崩れが発生したのは、 山頂へと続くつづら折りの林道4カ所で、 計約110㍍。 林道部分は来年度中に復旧作業が行われる見通しだ。 治山については、 保安林の指定を受けていないため、 国の補助を受けられるように、 指定を受けるかなど町が所有者と協議を重ねていく必要がある。 ただし、 一度指定を受けると伐採制限などもあるという。 町は林道工事が終わり次第、 治山事業を行うか総合的に判断する。

 同地区の南側の民家に住む農家の男性 (81) は 「麓に所有する田んぼはぐちゃぐちゃになってしまった。 せっかくいい米ができてたのにもう作れない。 命だけでも助かってよかったと思う。 行政の人が頑張ってくれてるのは分かるから、 辛抱せなあかんね」 と苦渋の表情だ。 北側の民家に住む自営業の男性 (47) も 「天災やからどうしようもない。 この地区の人らはみんなそういう認識やと思うけど…」 と復旧については、 気長に待つ姿勢という。

 また、 同町毛原中では、 町道が半壊した状態となっており、 このほど復旧工事の入札が終了。 順調にいけば2月中に作業がスタートするが、 被災した全てを元の状態に戻すには、 まだまだ相当な時間がかかりそうだ。

 県によると、 台風12号の豪雨で被災した農地や林道など農林水産関係施設の災害査定がこのほど終了した。 査定額は合計約67億2000万円に上った。 同町が受けた被害の査定額の内訳は農地が20件約2260万円、 林道関係施設が12件約9190万円で、 計32件約1億1450万円となった。

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