本紙記者が「百面」メークを体験 和歌祭

 5月13日に行われる紀州東照宮 (和歌山市和歌浦西)の大祭「和歌祭」 の練り物の見どころの一つに、 「百面」 と呼ばれる仮面を着けたにぎやかな一群があり、 百面に脅かされて泣いた子どもは元気に育つといわれている。 十数年前からは仮面を着けるだけではなく顔にペイントを施し、 怖さを倍増させている。 演者はどんなふうにメークをしているのか、 そしてなぜメークが必要なのか、 本紙記者が体験取材に挑んだ。

 百面に詳しい、和歌祭実行委員会のメンバーで、 同市吉田の飲食店「雀けん庵」オーナーの菊池崇行さん(40)に話を聞いた。

 もともと演者は仮面を顔に着けて練り歩いていたが、仮面を着けると前方が見えにくくなり、約4㌔の道のりを練り歩くのは困難だった。 ある時、演者は仮面を頭の上に乗せてみた。前方は見えるようになったが今度は子どもが怖がらなくなったため、メークをするようになったという。

 使うのはリキッドのおしろいと、赤と黒の舞台演劇用の練りおしろい。 歌舞伎の隈(くま)取りを参考としている。

 菊池さんはメークを始めたばかりの頃、インターネットなどで情報を集め、何度も練習。肌荒れしながらも年々技術は上達した。今では早ければ5分で仕上げられるという。

 本紙記者も初体験。普段からメークには慣れていたが意外にも難しく、所要時間は33分。手本を見ながら挑戦したが、線を派手に入れ過ぎてしまった。初心者にありがちなミスらしい。鏡とにらめっこし、完成した自分の顔を見るといかにも子どもを泣かせられそうだった。

菊池さんの指導を受けながら挑戦

 演者がメークをする理由は他にもある。見栄えが良くなることはもちろんだが、毎年どんな顔で登場するかを「楽しみにしてほしい」という願いがある。毎回違ったアレンジを加えて工夫を凝らし、観客に新鮮な喜びを感じてもらうのが一番の狙いなのである。

東照宮の徳川紋様をバックに

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