和歌祭の楽器など手作り 楠見中の和田さん


完成した 「二挺鉦」 を持つ和田さん。 右下は以前作った折りたたみ式太鼓台

 紀州東照宮 (和歌山市和歌浦西) の例祭 「和歌祭」 には、 大勢の縁の下の力持ちがいる。 同市楠見中の診療放射線技師・和田邦宏さん (54) もその一人だ。 和田さんは3年前から祭りに関わり始め、 道具などを手作り。 ことしは 「餅搗 (もちつき) 踊」 の 「二挺鉦 (にちょうがね)」 を制作した。 5月13日、 四十数年ぶりの復活となる餅搗歌のお囃子 (はやし) で初披露される。

 「二挺鉦」は餅搗踊の囃子方が使う道具で、江戸時代後期の絵巻物にも描かれている。実物は、紀州東照宮を調査していた県立博物館が2年前に見つけたが、古くて使えず、同館に寄託されていた(現在、和歌山大学紀州経済史文化史研究所で展示中)。

 そのため、餅搗歌の復活などに取り組んでいる県文化遺産課の蘇理剛志さん(35)が「器用な和田さんなら作れるのでは」と依頼。一緒に同館を訪れて実物の採寸などを行った。出来上がった「二挺鉦」は鉦の金色と枠の朱色が鮮やかで、合わせて作った「ばち」でたたくとかわいらしい響きがする。

 太鼓が趣味だったことから同祭の唐舩(とうぶね)御船歌連に加わった和田さんだが、笛も作るなど以前からものづくりは得意。「『ばち』が傷んでいては、昔から伝わる貴重な太鼓も傷んでしまう」と、お船歌の太鼓と餅搗踊の太鼓の「ばち」も作った。

 他、折りたたみ式太鼓台や担ぎ棒の支えづえも作って同宮に奉納。去年は唐舩を飾る鳳凰と龍の補修と塗り替えを行い、現在、鳳凰の翼を制作中という。

 和田さんは「地元の方も、修理したり作ったりしています」と話し、「僕は裏方。使ってもらい、祭りのお手伝いができるのがうれしい」とほほ笑んでいる。

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