和歌山市控訴せず ALS判決


控訴しないと発表する大橋市長

 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う男性(75)に対し、和歌山市に一日21時間以上の介護サービスを命じた和歌山地裁の判決について、同市は27日、控訴しないと発表した。判決では、同市が決めていた一日約12時間の介護時間について違法と認定していた。

 同日の定例記者会見で大橋建一市長は「原告の病気が進行性であること、家族の健康状態などを考慮して判決を厳粛に受け入れるべきと判断した」と説明。5月中に男性の生活状況などをあらためて調査し、介護時間を決定するが、判決が命じた一日21時間を最低ラインとし、上積みする可能性も示唆した。

 介護時間の決定は市町村が行うことから、大橋市長は「今回の判決が妥当かどうかはいろいろと意見がある」とも述べたが、難病患者や重度の障害者に対する長時間介護の決定は「大きな流れなのかなと思っている」との認識を示した。

 同市の判断を受けて和歌山ALS訴訟弁護団の長岡健太郎弁護士は「妥当な判断だと思う。全国のALS患者に与える影響も大きい」と評価した。訴訟では一日24時間の介護を求めてきたことから、「控訴するかどうかはこれから話し合って決めていきたい」と話している。

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