歴史や秘話を掲載 『和歌山県庁本館』出版

和歌山県庁本館
「県庁本館に親しみ持って」 と中西さん㊧と鈴木さん

 戦前に建てられた県庁本館の歴史と文化を発信しようと、 県建築士会の有志グループは一般書 『和歌山県庁本館』 を発行した。 平成21年6月から約2年間、 本紙1面で連載していた 「歴史と文化のラビリンス~迷宮~」 (全49回)を編集したもの。 副会長の中西重裕さん(53)と和歌山市支部副支部長の鈴木史郎さん(50)は 「誰にでも楽しんでもらえる一冊になった」 と話している。

 A5版で128㌻。 写真は同市在住のカメラマン長岡浩司さんが担当した。 「県庁をとりまく歴史」 「県庁の隠された秘密」 など5章に分け、 歴史や秘話を約200枚の写真と共に掲載している。

 現在の県庁本館は昭和13年に竣工。 県庁舎としては3代目となる。 県がリストアップする近代化遺産としては最大規模の建築物で、 粘土を素焼きしたクリーム色の「テラコッタ」が特徴となっている。

 平成20年に本館の耐震化工事が始まったことを受け、 戦前当時の姿を記録に残しておこうと、 有志9人が本紙での連載を企画。 当初から出版化を視野に入れていた。 県や県立図書館、 元県職員などに取材し、 連載が始まったことで本紙読者からも情報提供があったという。

 本では県庁竣工当時の建設模型、 正庁の高級な内装などについて、 建築家の目線で分かりやすく解説。 昭和天皇が昭和22年に知事室に宿泊したという逸話や、 戦時中に外観を迷彩に塗った県庁の写真など、 知られざる県庁の姿が詰まっている。

 中西さんは 「県庁はシンプルだけど飽きのこない立派な建物。 県民に楽しんでもらえる一冊になった。 今後も題材を変えて本を作り、 県民に建築の面白さを知ってもらえたら」。 鈴木さんは 「当時の和歌山の歴史を連想できる歴史書のような一面もある。 県庁に親しみを感じてもらえるのを期待したい」 と話している。

 同市の宮脇書店ダイワロイネット店(七番丁)や上野山書店(雑賀屋丁)、 同会事務局(ト半町)などで販売。 1000円。 問い合わせは同事務局(℡073・452・2331)。

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