文化財の収納法に注目 和歌山県立博物館で企画展


茶壺(奥)や茶わんを収納するための多くの箱や敷物、袋などが並ぶ

 文化財の収納法に注目した企画展「箱と包みを開いてみれば」が7月16日まで、和歌山市吹上の県立博物館で開かれている。初日の9日は安永拓世学芸員による展示解説が行われ、参加者らは見る機会の少ない収納道具そのものの美しさに感心しながら、収納法のさまざまな工夫や意味に聴き入った。

 展示されているのは「古神宝類」(国宝)と、それらを600年以上そのままの形で残してきた足付きの大きな箱(国宝)▽徳川家康が合戦で使った「陣貝」(ほら貝)と、それを入れる錠前付きの内箱、黒漆塗りに葵紋の金蒔絵(まきえ)を施した中箱、漆塗りの外箱など国宝7件と重要文化財1件、県指定文化財5件を含む計36件。

 布袋「仕覆(しふく)」やキリの内箱▽黒漆塗りの中箱▽その中箱を包む更紗(さらさ)の裂(きれ)▽スギの外箱と五重に包まれた茶わんもあり、安永さんは「まるでマトリョーシカのようですが、箱や包みは中の文化財を保護するとともに、美しく飾り貴重であることを示すことで、大切にしようとする人々の思いも伝えてきた」と話した。

 また、衝撃や温湿気の変化、虫、火などから文化財を守る収納のさまざまな工夫や、掛け軸収納の合理性も紹介。「茶道具のひもの結び方には防犯上の機能があり、箱に作者名や由来を書く箱書(はこがき)には中身の貴重さを子孫に伝える役割がある」と話した。

 同市新通の山本浩さん(72)は「すごく面白い。海外に渡った文化財は箱や包みが捨てられたと聞き、日本人の大事にする気持ちを感じました」と話していた。

 展示解説は17、23日、7月1、15日にも午後1時半から行われる(7日は午後2時から)。子ども向けの解説やクイズ、音声ガイド(一般200円)もある。

 バックヤードツアーも 同館の収蔵法を見学する「博物館バックヤードツアー」が7月16日午後1時半から開かれる。定員15人。入館料と事前申し込み必要。申し込み、問い合わせは同館(℡073・436・8670)。

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