日本を破綻させないために 社会保障と税の一体改革

岸本 周平

 社会保障と税の一体改革法案とその修正案が衆議院で可決されました。 5月16日から始まった社会保障と税の一体改革特別委員会は、 中央公聴会や地方公聴会、 参考人質疑を入れて、 総審査時間が約129時間となりました。 これは1960年の安保条約改定の時の審議時間約136時間に次ぐ、 戦後2番目の長さです。

 私も委員の一人として、 参加しました。 一日7時間、 座っているのはかなり厳しいですが、 与野党の質疑は専門的で奥の深いものでした。 地方公聴会では、 福島での会議に参加して、 質問にも立たせていただき、 大いに参考になりました。

 そして、 自民、 公明、 民主の三党協議が始まりました。 実際、 委員会での審議によって、 政府案と自民、 公明の各党との考え方の違いはクリアになってきていました。 参議院では野党が過半数を占める 「ねじれ現象」 が起きていますから、 政府案は野党の協力がなければ成立しません。 社会保障の充実とそのための安定財源を確保するというこの法案が、 一歩でも二歩でも前に進むためには、 これまでも、 子ども手当の充実などで協力してきた自民、 公明と合意をしていくことが自然な流れです。 委員会の審議で、 問題点が洗い出され、 それを受けて三党の実務者協議が整いました。

 形は変わりましたが、 低所得の年金生活の皆さんに、 福祉的な給付金が手当されます。 総合子ども園という名前はなくなりましたが、 これまでのように厚生労働省と文部科学省から別々に補助金をもらうのではなく、 内閣府に一本化ができました。 そして、 新たに7000億円の予算が子ども子育てに充てられるのです。

 自民、 公明、 民主の三党でお互いの主張を譲り合いながら 「決める政治」 を実現していくモデルができました。

 社会保障の充実のためには、 消費税のような安定的な財源が必要です。 もちろん、 国会議員の定数削減、 歳費のカット、 公務員改革などムダ使いの見直しを同時にやることは当然です。 これまでは 「消費税の前にやることがある」 と言って、 先送りをする政治が続き、 日本の財政は第二次世界大戦直後と同じレベルまで悪化してしまいました。

 マニフェストに書いていなかったことは、 素直に謝ります。 しかし、 借金が1000兆円になり、 毎年、 税収よりも借金の方が多い予算をこれ以上続けることはできません。 ギリシャやスペインを他山の石とすべきです。

 何より、 年金や医療、 介護の予算がほとんど赤字国債でまかなわれているようでは、 将来の不安が大きすぎて、 現役世代も消費を増やせません。 今の年金や医療、 介護のサービスを続けるために消費税を使うのです。

 日本を破綻させるわけにはいきません。

 まだ生まれていない未来の日本人と、 まだ選挙権のない子どもたちのために。

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