高野山麓の魅力 県立博物館で特別展


寺外初公開。 演奏し舞う25体の菩薩像が魅力的

 高野山山上の宗教活動を支えてきた 「高野山麓」 に注目し、 知られていなかった魅力を紹介する特別展 「高野山麓 祈りのかたち」 が12月2日まで、 和歌山市吹上の県立博物館で開かれている。 近年の調査で見いだされた60点の初公開資料も出展。 山麓の人々が大切に守り伝えてきた仏像や仏画、 仮面など、 国宝を含む123件300点を一堂に展示している。

 初日の20日に開かれたミュージアムトークでは、 空海が伽藍 (がらん) 造営に至った経緯や、 援助した丹生氏などについて同館の大河内智之学芸員が説明。

 特に 「弘法大師御手印縁起写」 に描かれた、 丹生明神が空海に渡した広大な土地の地図に注目し、 「その土地の四隅を調査したところ、 さまざまな重要な発見があった」 と話した。

 例えば南西の隅には堂鳴海山 (どうなるみさん) 伝来の仏像群が、 北西の隅には感応山 (かんのうさん) 伝来の仏像群が村の人々に守られて残っており、 「高野山仏教圏の広がりや、 幻の寺が明らかになってきた」 という。

 また、 九度山の村の人たちが楽しんだ豪華な能装束や行者面なども展示し、 かつての人々の息遣いとにぎわいを紹介している。

 講演会が次の日程で開かれる。いずれも午後1時半から県立近代美術館2階で。申し込み不要。問い合わせは同館(℡073・436・8670)。

 11月3日 「高野山麓 祈りのかたち」 (大河内学芸員) ▽11日 「密教彫像の展開」 (伊東史朗同館館長) ▽17日 「高野山鎮守丹生都比売神社で行われた舞楽法会」 (遠藤徹東京学芸大学准教授) ▽25日 「高野山上の仏像」 友鳴利英高野山霊宝館学芸員)

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