「あるべき姿」実現のために 役人いじめでなく共に汗を

鶴保 庸介

 お久しぶりです。 国土交通省副大臣室に入って約3カ月。 ようやく落ち着いてきました。 この間、 観光立国、 中古住宅市場活性化、 老朽化インフラの整備のための本部設置、物流の整備活性化などに精力を費やしてきました。 何をして何をなそうとしているかは先にこちらが表明してしまうと多くの関係者に影響が及ぶので差し控えねばならないとの思いもあり、 ブログもしばらくは休眠状態にしてあります。

 政府というのは難しいものだと思います。 ただ、 いつも心がけているのは、 これまでの延長線上に政治があるのではないということです。 「今まで通り」 という考え方が一番無難で、 楽なのですが、 「すべて疑ってかかる」 ぐらいの気持ちで一から見直しています。 「どうして?」 「なぜこんな制度ができたの?」 「この目的はなに?」。 役所の方々にいちいち挑んでいると嫌がられるのは承知ですが、 そんなやり取りの中でこそ、 本来の 「あるべき姿」 が見えてくるように思いますし、 実際気づかされることもあると思います。

 もちろん気づいただけではだめで、 じゃあ 「あるべき姿」 を実現するためにどうするかというのが大切なのですが、 ここからが大変です。 まず、 普通はここからは役所の援助は見込めません。 さまざまな資料集めをしてくれたり会議の場を設けてくれたりはするのですが、 それ以上の変化を基本的に望まない特性があるからです。

 もちろん、 個々の役所の職員はとても優秀で改革志向に燃えた人々もたくさんいます。 しかし、 「変化」 は必ずといってよいほど「混乱」を呼びます。その関係者から反発が来ます。 全体としては利益になるものでもそれら一部の人々を説き伏せるめんどくさい作業を引き受けねばなりません。

 加えて前任がやってきたことを否定してまでのことになっても、 評価されることが少なくなりました。 公務員制度改革のおかげで天下りがなくなり、 役所の人事が停滞するようになりました。 結果、 横並び人事が長らく続き、 ピラミッド組織が崩れたのです。 人より頑張らねば、 という気概と競争意識は、 まあ今はそこまでがつがつしなくても、 というような雰囲気に変わりつつあるように思います。

 今私がやっていることはこれらの役人意識を変えてもらうことです。 そして多くの国民のみなさんに役人いじめをやめてもらうことです。 ほんとうに多くのことを変えたい。 利害を持った方々の反発を無視はできませんが、 多少の混乱を承知の上で変えていきたい。 そう何人の仲間が思ってくれるか。 それには一握りでいい、 やる気のある役人の力はぜひとも必要です。 そしてその役人のやる気を支えるのは、 なんでも不平不満があれば行政のせいにする国民ではなく、 役人をいじめ、 文句を言いさえすれば満足する国民ではなく、 問題解決のために共に汗をかき、 提案し、 役人を信頼して動かしていく国民なのだと思います。

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