東京五輪決定のIOC総会へ 歴史的な2泊6日の総理外遊

世耕 弘成

 9月4日から9日にかけて、安倍総理とともに2泊6日という想像を絶する強行日程でロシアのサンクトペテルブルグにおけるG20サミットと、アルゼンチンのブエノスアイレスにおける国際オリンピック委員会総会に出席してきた。

 まず9月4日午後に政府専用機で羽田を出発。現地時間その日の夕方にサンクトペテルブルグに到着。到着後直ちにイギリスのキャメロン首相との電話会談が設定された。両首脳はG20サミットでシリアへの人道支援で両国がリードしていくことを確認した。

 翌日はまずプーチン大統領との首脳会談。両首脳は日ロの経済協力プロジェクトが順調に進んでいることを確認し、平和条約に向けて両国外務省間で交渉を進展させることを約束した。

 続いて到着したばかりのオバマ大統領との首脳会談。この会談はアメリカ側からの要望でセットされた。シリア問題での連携をはじめとするあらゆる分野での協力が確認された。

 その後はG20首脳会議に総理は出席。会議は夜10時まで続き、その後首脳夕食会へと進んだ。その間安倍総理は首脳控え室で習近平中国国家主席と立ち話であいさつを交わし、夕食会では朴槿恵韓国大統領とも立ち話を交わした。

 夕食会を中座した安倍総理は、深夜専用機でサンクトペテルブルグを出発し、アメリカのボストンでの給油時間も含め、24時間近くかけてブエノスアイレスへ移動。夕方に現地入り。

 到着直後から精力的にIOC委員への働きかけを行った。夜7時からはIOC総会開会式とカクテルパーティ。この場も重要なPRの場であり、総理は積極的にIOC委員に東京の魅力をアピールした。そしてパーティ終了後も深夜まで委員への働きかけを続けた。

 翌日は早朝7時半からプレゼンテーションのリハーサル。時間をかけて何度も行われた。われわれフロアに座るメンバーも拍手の練習までした。

 そして午前11時から本番のプレゼンテーション。総理はスピーチ、質疑応答で切れ味のいい発言を行った。

 午後5時から、いよいよ開催都市の発表。安倍総理以下日本代表団は固唾をのんで見守ったが、見事東京が2020年のオリンピックを射止めることができた。私も会場に詰め、歴史的な瞬間に立ち会った。2013年9月7日は後世、日本が長い不調から立ち直った日として刻まれることになるだろう。

 東京招致が決まった後も、日程は続いた。IOC会長らとの共同記者会見。IOC委員とのレセプション。そして日本向けの内外記者会見。

 それらを全部終え、専用機に搭乗したのは深夜0時過ぎ。そのままロサンゼルスまで飛び、いったん給油。そして東京へと帰ってきた。

 たった6日間(しかも2泊)の出来事とは思えないくらい、充実した内容の出張であった。ハードスケジュールではあったが、疲れを感じる余裕がないくらい息の抜けない内容でもあった。この歴史に残る安倍総理の出張に官房副長官として同行し、あらゆる面で総理をサポートできたことは、自分にとっても一生忘れられない思い出になると思う。

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