国家戦略特区で新しい挑戦を 希望与える制度への提案

阪口 直人

 成長戦略の一環として「国家戦略特区」をどのように機能させるか、今、国会では大きな議論になっており、私も8日の衆議院本会議で安倍総理に質問しました。しかし政府が提出した法案は、踏み込んだ内容にはなっていません。

 世界銀行が185の国・地域を対象に企業の活動状況を調査した年次報告書「ビジネス環境の現状」のランクでは、2013年の日本は24位。アジアの新興国にもリードを許しています。起業のしやすさは114位、税制度が127位と厳しい評価です。「世界で一番ビジネスのしやすい環境」をつくるためには、これまでと異次元の挑戦により岩盤規制を打破しなくてはなりません。

 国家戦略特区を機能させるため、私たちは政府に「先回り」をして具体的な数々の提案を行ってきました。

 外国企業が日本を敬遠するのは、ビジネスコストの高さ、規制・行政手続きの複雑さ、医療機関や子どもの教育の問題などが挙げられています。世界を取り込むためには、大胆な規制緩和が必要なのです。中でも雇用規制の緩和こそが成長戦略を機能させるカギです。企業と労働者の関係で見ると労働者は弱い立場です。日本全体の制度としては、労働者を守っていく法制度は絶対に必要です。しかし、十分な能力と一定以上の収入があり、リスクはあっても、自分の能力と可能性を最大限伸ばしたい情熱を持った人が働き方を自由に選択できる制度作りは特区だからこそ必要と私たちは考えています。

 国家戦略特区法案において最も大きな問題は、税制改革に踏み込めていない点です。大阪府と大阪市では国際総合戦略特区において、新たに進出した企業の地方税をゼロにしています。国もこうした取り組みに連動させて特区内での法人税を大幅に下げるべきです。

 国家戦略特区は、過酷な国際競争に勝ち切る都市をつくることが目的ですが、私は、経済の効率性を追求するとともに、人間の幸せを追求するための新しい挑戦をする場であるべきだと思っています。例えば、利益を最大化するのではなく、社会への貢献を最大化しようと考える企業、いわゆる公益資本主義を実践する企業を税制面で応援することも、特区だからこそ、社会実験的に導入できます。また弱い立場の方々を支援する社会貢献活動を行うNPOに対しては、寄付金の控除額を上げ、活動を後押しする制度をつくることで新しい公共の担い手が育ちます。

 米国のオバマ大統領は大学を卒業した後、ウォール街には目もくれず、シカゴ南部の貧困地域で3年間、弱い立場の人々の自立を支援する地域活動家として働きました。このような経験を踏まえて、社会を良くするために働く人を支援する意志を育んだと言われています。国家戦略特区は一部の地域、一部のエリートや強い立場の人たちだけが恩恵を独占するものであってはならず、和歌山のような地方の活性化にも寄与し、全ての人に希望を与える制度にすべきです。維新の考えの根幹にある自立する地域、自立する個人を実現するため、与野党を超えた提案を続けていきます。

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