国内2例目「胡ろく形埴輪」 岩橋で出土

大谷山22号墳から出土した胡ろく形埴輪の一部(左上、その右隣は大日山35号墳から出土した胡ろく形埴輪)
大谷山22号墳から出土した胡ろく形埴輪の一部(左上、その右隣は大日山35号墳から出土した胡ろく形埴輪)

 和歌山市岩橋の岩橋千塚古墳群の大谷山22号墳から、昭和41年に発掘された埴輪(はにわ)の破片が、乗馬の際に矢を入れて腰に下げる容器「胡(こ)ろく」をかたどった「胡ろく形埴輪」の一部だったことが分かった。同様の埴輪が同古墳群内の大日山35号墳からも発見されており、国内2例目。市文化振興課では「和歌山に独特の埴輪文化があったことが分かる貴重な発見」とし、来年2月2日まで市立博物館で展示している。

 大谷山22号墳は、6世紀前半に築造されたとされる同古墳群最大級の前方後円墳。昭和41年に市教委から委託を受けた関西大学考古学研究室が発掘調査を行い、数多くの埴輪が発見されている。 

 「胡ろく」とは、逆台形型をした武具で、中央の帯付近に矢を入れる袋がある。同課によると、矢入れ具としては、矢を入れて背中に担ぐ「靫(ゆぎ)形埴輪」があり、全国で多く出土しているが、胡ろく形埴輪は大日山35号墳でしか見つかっていなかった。

 大谷山22号墳から約600㍍離れた大日山35号墳で平成15年から県教委による発掘調査が行われ、「胡ろく形埴輪」の他、翼を広げた「鳥形埴輪」や両面頭部の「両面人物埴輪」など、全国初の珍しい埴輪が出土し、大きな注目を浴びた。

 これを受けて、それまで大谷山22号墳で見つかっていた埴輪の破片を再調査。県文化財センターの丹野拓さんと市文化スポーツ振興財団の藤藪勝則さんが、ことし7月ごろから詳しく調べていたところ、矢を入れる袋の構造など、大日山35号墳で発見された胡ろく形埴輪と特徴が一致したため、特定に至った。全体としては高さ約90㌢、幅約40㌢と推測される。

 同課では「大日山35号墳だけでなく、大谷山22号墳でも胡ろく形埴輪が見つかったことは、独自の埴輪文化が岩橋千塚古墳の中心にあったと考えられる」としている。

 開館は午前9時から午後5時。月曜、祝日休館。28日から1月4日は休み。入館料100円。

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