駿河屋が事業譲渡へ 和菓子の老舗

駿河屋本店(和歌山市駿河町)
駿河屋本店(和歌山市駿河町)

 民事再生法手続き中の老舗和菓子メーカー、駿河屋(本店=和歌山市駿河町)がスポンサー企業に事業譲渡する見通しであることが分かった。室町時代に創業し、紀州藩御用を務めた県内最古の企業のブランドは存続できるのか、今後の動きが注目される。

 同社広報は29日、わかやま新報の取材に対し、事業譲渡の方向であることは認めたが、店舗や自社商品の今後については「現時点で答えられない」と話した。

 駿河屋は室町時代の1461年、京都・伏見で「鶴屋」の屋号で創業。江戸時代、紀州初代藩主・徳川頼宣に店主が同行して和歌山市駿河町に移転。紀州徳川家の和菓子を調達し、「駿河屋」の屋号が与えられた。

 県内を中心に大阪や京都に出店し、事業を拡大。1961年に東証2部に上場したが、2004年に架空増資事件で当時の社長が逮捕、上場廃止となった。近年は資金繰りが悪化し、ことし1月に法的手続きによる再建を決断。同市内の工場での生産を縮小するなど、自社生産の選別と仕入れ商品の活用などで営業を続けてきた。

 29日、本店の従業員は「詳しくは本社で聞いてください」と言葉少なだった。

関連記事

同じカテゴリのニュース一覧