貸切バス新運賃制度 県内全社届け出


申請書を提出するバス業者

 高速ツアーバスの事故などを受け、運転手の勤務態勢などの構造的な問題が指摘された貸切バス業界について、国土交通省はことし4月1日から、改善に向けて従来の運賃制度を見直し、安全と労働環境改善のコストを反映した新運賃・料金制度に移行した。新制度に基づく運賃申請の最終日となった6月30日、和歌山運輸支局では対象となる県内35社全ての届け出がそろった。

 貸切バスの安全性向上を図る取り組みの一環。バス業界は燃料費の高騰や経費増などに加え、価格競争の激化で届け出運賃とは異なる低運賃での取り引きが常態化するといった問題が浮き彫りになっている。国はバス会社の利益を確保し、適正な人員配置や労働環境の待遇改善が行える安全コストを反映する運賃制度を打ち出した。

 新制度は、出庫・帰庫点検の各1時間を含め、走行距離と時間を合わせて計算する「時間・キロ併用制運賃」となる。各地方運輸局などが公示した運賃・料金で届け出を行う場合、公示運賃の上限額と下限額の幅の中で運賃を決定し、下限額以下の運賃で運行すると、届け出運賃違反として行政処分を受け、ツアーを組んだ旅行会社も改善を求められる。

 30日には、県バス協会の会員6社が和歌山運輸支局に届け出を提出した。

 有田鉄道(本社=有田川町)の川村健一郎社長(41)は「新制度によって原価割れが少なくなり、安全に対するコストを掛けられるようになる。お客さまに対しても安全をアピールできる」と話していた。

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