遊休物件を再生へ 和歌山市が募集

リノベーションスクールでレンタルスペースに生まれ変わった古民家の例(北九州市小倉)
リノベーションスクールでレンタルスペースに生まれ変わった古民家の例(北九州市小倉)

 市街地の空洞化などの問題に直面するなか、遊休不動産や空き物件の再生(リノベーション)を目指し、和歌山市は8月20日まで、まちなかの対象物件を、オーナーなどから募集している。物件は、ことし10月末ごろに予定しているリノベーションスクールで活用が検討され、最終日にプレゼンテーションでオーナーが事業計画に賛同すれば、事業が実行される。募集は4物件。

 担当の市商工まちおこし課によると現在、人口減少や高齢化、経済停滞の影響で、市内の空き物件は増加の一途をたどっており、早急なまちなか再生の取り組みの必要性が求められている。

 対象の条件は、市堀川を中心にしたJR和歌山駅から南海和歌山市駅エリアにある未・低利用物件。リノベーションスクールの趣旨や取り組みを理解し、参画できること▽スクール最終日のプレゼンテーション、受講生からのヒアリング調査などに協力できること――など。家賃や物件リフォームの必要性などは、個別案件により異なる。オーナ側のメリットは、無料で事業計画を提案してもらえることや3~5年で出資額を回収できる事業計画が出る可能性が高いことなどが挙げられる。

 リノベーションスクールは、北九州市小倉で先進的に取り組みが進んでいる。小倉は、和歌山市と同じく、城下町として栄えたが、現在では、十年以上活用されていないビルも存在するほど、衰退が目立つ街になった。そこで立ち上がったのが、既存物件の再生に注目した建築家らでつくる「一般社団法人HEAD研究会」のメンバー。平成23年から小倉でリノベーションスクールを開始。受講生とオーナーをつなぐ仕組みを作り出した。スクールでは、起業や地域再生を志す人たちが集って各グループに分かれて議論。建築家などのアドバイスを受けながら4日間で事業計画を完成させる。受講生らが発案した各事業により、小倉では約2年間で約200人の雇用が生まれたという。

 市商工まちおこし課は「まちなかの新規開発が難しくなっている現状がある以上、既存空き物件の活用は、今後の課題であり、活性化への可能性を秘めている。オーナーには、趣旨を理解してもらい、参加してほしい」と呼び掛けている。

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