乳がん検診・治療を促進 ろうさい病院

検診を呼び掛ける玉置部長㊧と川路医師
検診を呼び掛ける玉置部長㊧と川路医師

 日本人女性が最も多くかかるがん「乳がん」の早期発見と治療を目指し、和歌山ろうさい病院(和歌山市木ノ本、南條輝志男院長)は和歌山市の紀の川以北で初めて、乳腺専門医による診療と検診を進めている。ことし1月に呼吸器・乳腺外科に着任した2人の医師、乳腺専門の玉置剛司・乳腺外科部長と女性の川路万理・乳腺外科医員に、同院の取り組みと乳がんについて聞いた。

 玉置部長は、同院での乳がん診療について「これまで検診を一度も受けていない患者さんが来ることも多く、中には進行した状態の人もいる」と話す。

 乳がんは、国内で年間約6万人が新たに発症し、約1万3000人が亡くなっている(国立がん研究センターがん対策情報センター「がんの統計’13」)。患者数は増加傾向にあり、今や14人に1人がかかっている。年齢別では45~55歳が最も多く、65歳前後が次いで多い。

 県内の69歳以下の乳がん検診受診率は38・1%(平成24年度地域保健・健康増進事業報告)で、29年度までに受診率を50%に上げる目標だ。

 玉置部長は「乳がんの予防には生活習慣の改善が重要であることはもちろん、検診による早期発見は非常に大事。もし、乳がんが見つかった場合でも、専門施設での適切な治療を受ければ、死亡するリスクを大きく下げることができる」と指摘する。

 一人ひとりが取り組める具体的なこととして、高カロリー・高脂肪の食事を控え、適度な運動を心がけるよう呼び掛ける。さらに、自分で乳房を触ってしこりがないか調べる自己触診と、専門施設で行う超音波やマンモグラフィなどによる検診、この両方を定期的に続けるよう勧める。

 「女性が毎日お化粧をし、染みやしわが増えたという変化に気がつくのと同じように、毎月自分の乳房を触って、変化がないかチェックしてほしい」と呼び掛けている。

女性専用外来も しこりなど気になる症状がある場合、和歌山ろうさい病院では、乳がんに関する診療や検診を、乳腺外科の外来だけでなく、「女性専用外来」でも受けることができる。

 「女性専用外来」は平成15年5月、県内で初めて同院に開設され、乳腺外科の他、婦人科、肛門科、漢方外来の各分野を女性医師が担当。看護師や技師などのスタッフもすべて女性で、診療費は保険が適用される。

 「完全予約制なので、一人30分の時間をとって、じっくり話を聞きます」と話す川路医師。

 女性の先生に診てもらえる安心感があると、同世代の20~30代の女性の来院も多く、26年6月までに約7000人が女性専用外来を受診している。

 全国労災病院の女性医療研究拠点がある和歌山ろうさい病院。女性の視点に立ったチーム医療で、乳がんなどの女性特有の病気をはじめ、さまざまな悩みを抱える女性患者をサポートする体制を強化している。

関連記事

同じカテゴリのニュース一覧