研究成果に注目 市中央終末処理場

施設職員に案内される報道関係者ら
施設職員に案内される報道関係者ら

 国が約15億円を投じ、和歌山市三の市中央終末処理場で研究を行っているエコ下水処理施設「B―DASHプロジェクト」の初年度事業が終了し、研究成果が報道陣に公開された。同プロジェクトは、市や企業、大学でつくる共同研究体で行っている下水処理場と小規模電力発電機を組み合わせた全国初のシステム。他自治体や大学研究者などが多数見学に訪れるなど注目され、国交省は将来的な技術輸出も視野に入れて事業を進めているという。

 同プロジェクトは、既存技術や製品を組み合わせてエコ効果を生み出そうというもの。発電機と下水道施設の組み合わせは、大規模施設ではあったものの、小規模施設ではこれまでなかった。

 今回、し尿を集めた汚泥貯留槽から送られた汚泥に含まれる水分について、回転式脱水機で従来の含水率75~80%から70%まで脱水を強化し、焼却時の熱効率が高まり完全自燃に成功。これまで必要だった補助燃料(重油)をなくした。また、焼却の際に出る高温蒸気を、タービンやスクリュー式の小型発電機2基に使用することで計毎時100㌔㍗を発電し、同プロジェクト施設の電力量の7割を賄っているという。

 現在、同施設は市内約2万8000世帯、7万人分のし尿を処理。従来の処理施設からのコスト削減は年間2700万円にも及ぶという。市は今後、1年を通して安定的にシステムが運用できるか実証実験を行う。

 市下水道経営課の巽和祥課長(56)は「今後は運転管理の人件費の削減を実現できれば、費用対効果は高まり、今後全国的にも導入が進む施設になる」と自信をのぞかせた。

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