有吉佐和子没後30年 特別展やシンポ

長女の玉青さん㊧もテープカットに参加(和歌の浦アート・キューブ)
長女の玉青さん㊧もテープカットに参加(和歌の浦アート・キューブ)

有吉佐和子

有吉佐和子


 和歌山市出身の作家、有吉佐和子(1931~1984)の没後30年にあらためて功績を顕彰する特別展が2日、和歌の浦アート・キューブ(同市和歌浦南)で始まった。1日には、市民会館(同市伝法橋南ノ丁)で特別展を記念したシンポジウムが開かれ、パネリストとして大橋建一市長、近代文学研究者の宮内淳子さんの他、佐和子の長女で大阪芸術大学教授の有吉玉青(たまお)さん(50)が参加。家族しか知らない母の逸話などを披露した。会場には、佐和子のファン約500人が集まり、数々の名作を生み出した佐和子に思いをはせた。

 玉青さんは、『紀ノ川』 『有田川』 『日高川』など佐和子が川をタイトルにした作品を生み出したことについて「母は市内で生まれましたが、小学校のころに銀行員だった父の転勤でジャカルタに住んでいたことがありました」とし、「ジャカルタの川は茶色で、和歌山に戻って来た時に川が青かったことに驚き、その強い印象が各作品につながったのでは」と紹介した。

 また、幼いころに厳しく育てられた思い出の一つとして「『自分で乗れるようになりなさい』と言われ、飛行機ではいつも母はファーストクラスでしたが、私はエコノミークラスでした」と振り返った。

 この日はその他、大橋市長の父、大橋正雄元知事と佐和子が一緒に写った記念写真や、佐和子の秘蔵インタビュー音声なども披露された。

 参加した同市木本地区出身で、佐和子と交流があったという南方つるみさん(87)は「声を聞いて当時を思い出しました。若いころから秀才とみんなに慕われていたんですよ」と話していた。

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 アート・キューブでは佐和子の『紀ノ川』 『華岡青洲の妻』などの直筆原稿やノート、台本、写真パネルなど50点以上を展示。約50人が集まったセレモニーのテープカットでは、佐和子の資料を特別展に提供した玉青さんも参加し、開催を祝った。特別展は10日まで。

 今後は、7日午後6時半から市民会館で佐和子の作品の朗読劇があり、市民図書館には9月30日まで、佐和子の作品を集めた著書コーナーが設置されている。

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