ユニバーサルデザイン総理表彰 県博

 高齢者や障害者など、全ての人が快適な社会生活を送ることを目指す内閣府の平成26年度「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰」の最高賞・内閣総理大臣表彰に、和歌山市の県立博物館施設活性化事業実行委員会と同館が選ばれた。視覚に障害のある人もない人も共に学べる図録の作製や、触ることができる資料の展示など、来館者の誰もが展示空間を楽しめる画期的な取り組みが高く評価された。県内では初の受賞。

 表彰は内閣府が平成14年度から実施。バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進に関して、施設の整備、製品の開発、推進・普及のための活動などで特に顕著な功績や功労のあった個人や団体を表彰するもの。

 同委員会は、同館が市民団体や工業高校などと連携し設立。平成22年度から文化庁の文化芸術振興費補助金を活用し、県立和歌山盲学校や県立和歌山工業高校協力のもと、活字や点字、写真図版と特殊な盛り上げ印刷技術を使った「さわって読む図録」や、立体(3D)プリンターを駆使し「さわれるレプリカ」を作製。展示・公開するなど、博物館展示のユニバーサルデザイン化を進めてきた。

 多くの博物館や美術館は資料を目で見て解説を読むという形式の展示。視覚障害のある人にとってバリアも多く課題があったが、実際資料に触れることで、音声案内だけでは伝わらない情報が得られ、郷土の文化財を身近に感じられるという展示のバリアフリーにつながった。安価で、万が一破損してもつくり直せるなど、新たな展示のモデルケースとなり得る取り組みという。

 表彰式は17日に東京の総理大臣官邸で行われ、中心となって取り組みを進めてきた同館の大河内智之主査学芸員(40)が代表で、安倍晋三首相から表彰を受けた。

 大河内主査学芸員は「いろんな方々の協力で進めてきた取り組みが評価され、大変うれしい。このようなユニバーサルデザインは全国的にも他にない先進的なもの。今後、他の博物館や美術館でも、あらゆる人が楽しめるよう普及していけば」と話している。

 受賞を記念し、これまで作成したレプリカや図録を紹介する展示が19日から来年2月22日まで、同館エントランスホールで行われる。無料。

さわれるレプリカや図録の前で、大河内主査学芸員

さわれるレプリカや図録の前で、大河内主査学芸員

さわれるレプリカ制作の様子(県立和歌山工業高校)

さわれるレプリカ制作の様子(県立和歌山工業高校)

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