国民にだけリスク負わせる 安倍政権の不公正な年金運用

岸本 周平

 今、衆議院予算委員会が開催中です。私も予算委員会のメンバーとして、質問に立ち、安倍政権が株価を上げるために、国民の虎の子の大事な年金で株を買い増し、年金をリスクにさらす一方、公務員の年金は株の買い増しをしていない点を追及しました。

 昨年、年金を運用する独立行政法人GPIFの運用方針が変わりました。GPIFは厚生年金と国民年金の積立金、約132兆円を運用する世界最大の機関投資家です。その基本ポートフォリオは、国内債券60%、国内株式12%、外国債券11%、外国株式12%、短期資産5%でした。これが昨年の10月に変更され、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%と、株式への投資を倍増し、総資産の半分を国内外の株式市場に投資します。

 これは、大変なことです。国民の虎の子の年金を大きなリスクにさらすわけです。運用機関として、2割から3割程度の株式運用をするのは理解できますが、資産の半分を株式に投資するのは行き過ぎです。上がった株は必ず下がります。バブルの崩壊、リーマンショックなど、株を持ってない人も肌身でわかる感覚です。過去、年金の積立金では、大きな損失を出してきました。社会保険庁が運営してきたサンピア事業の損失が、約1兆2000億円。GPIFの前身である年金福祉事業団のグリーンピア事業の損失は約3700億円。同じく年金福祉事業団が2000年に廃止されるまで行っていた資金運用事業では、約3兆円の損失が出ています。国民の大切な年金に、このような巨額の損失を与えておいて、誰も責任を取っていません。厚生大臣や、厚生省、社会保険庁、年金福祉事業団の幹部が弁償しましたか? これこそ、本当の「消えた年金」です。 

 今回、同じような愚を繰り返すリスクが高いのです。国民の大事な年金積立金をリスクにさらす一方で、公務員の年金は株式の運用を増やしていません。現在、国家公務員共済の基本ポートフォリオは、国内債券74%、国内株式8%、外国債券2%、外国株式8%などとなっています。公務員の年金にはリスクを取らせず、国民にだけリスクを取らせるというのはどういうことでしょうか? しかも、安倍総理の答えは、「それは知りませんでした」という無責任なものでした。私は、このような不公正な上、冒険主義で国民に一方的にリスクを負わせる安倍政権の公的年金運用には納得できません。

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