行政の過度な関与に対案を 上から目線の政府の農協改革案

岸本 周平

 農協改革法の審議が始まりました。現在、民主党のネクスト農林水産大臣として、政府案への対案を提出し、本会議や委員会で答弁もしながら国会でがんばっています。

 政府の農協改革案は制度いじりをすることで改革しているポーズを取っているに過ぎません。何よりその問題は、新自由主義的な考え方に基づいた、いわゆる「一億総株式会社化」にあります。規制をなくし、効率を追求すべき分野があることは当然です。しかし、たとえば教育や医療・福祉、なかんずく農業の分野は、何でもかんでも株式会社にして効率のみを追求すべきではありません。市場の暴走を止め、格差拡大に歯止めをかけるためにも、協同組合やNPOなどのいわゆる中間団体の活動が求められています。

 私たちの法案では、今一度、協同組合としての農協の位置づけを明らかにしています。

 まず、農協法の総則を改正し、これまでの「農家のための農協」に加え、「地域のための農協」という役割を法律で明確に位置づけました。地域に着目したとき、農業者でない「準組合員」も組合の正当な一員と位置付けることが可能です。

 また、協同組合の運営は、本来、組合員の自治に委ねられるべきものです。行政が過度に関与し、その改革が政府・与党の力任せに行われることともなれば、協同組合の本旨がゆがめられます。そのため、国や地方自治体に、組合の自主性の尊重を求めるとともに、組合側にも政治的中立性を求める内容となっています。

 さらに、農協そのものにも自己改革をしていただかなければなりません。そのため、都道府県の区域を超える農協や同じ地域内でも複数の農協の設立を可能にする条文を置きました。実際、JAわかやまは法律改正がなくても自主的に㈱JAファームわかやまを立ち上げ、農産物の生産販売、農作業の受託などを行っています。また、育苗センターや食品工場をつくり、地元の組合員に喜ばれるとともに、高付加価値の製品を生み出しています。和歌山名産のショウガを使った「生姜丸しぼりジンジャーエール」は年間売上160万本のヒット商品となり6次産業化のモデルになっています。政府の過度な関与がない方が、農業がよみがえる良い例です。

 私はこの対案と、すでに提出済みの農業者戸別所得補償法案及びふるさと維持3法案とを合わせ、農家の所得向上と営農を継続する体制の構築、日本の伝統・文化を継承する農村振興に取り組んでいきます。

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