紀州漆器の技を堪能 皇太子さま海南訪問

 皇太子さまは来県3日目の29日、「紀州漆器」の技術伝承や作品展示をしている紀州漆器伝統産業会館(海南市船尾)を訪れ、伝統の技を凝らした漆器の数々や、谷岡漆芸店4代目の伝統工芸士・谷岡敏史さん(77)による塗りの実演などを視察された。

 紀州漆器は同市黒江地区を中心に生産され、会津塗(福島県)、山中塗・輪島塗(石川県)と並ぶ全国三大産地として知られる。

 この日、同館周辺や沿道には多くの地域住民らが集まり、皇太子さまを歓迎。紀州漆器協同組合の笠野禎則理事長、神出政巳海南市長、宮本勝利市議会議長が同館前で出迎え、笠野理事長の先導で、皇太子さまは館内の紀州漆器の作品などを鑑賞された。

 皇太子さまの前で実演した谷岡さんは、黒江出身で職人歴は60年以上になる。谷岡さんは、はけを使って花器に朱塗りを施す作業を実演。興味深そうに見学された皇太子さまは、「きれいですね」「塗るこつはあるのですか」などと質問された他、はけの毛は人毛で作られていることなど、谷岡さんの説明に熱心に耳を傾け、「お体にお気を付けて」と言葉を掛けられた。

 実演を終えた谷岡さんは「皇太子さまは気さくな方で、いつも通りにすることができました。ほっとしています」と笑顔を見せていた。

 この日は来県最終日となり、皇太子さまは和歌山市の紀三井寺公園陸上競技場でインターハイの陸上競技の観戦、㈱島精機製作所では、平成7年に世界で初めて開発された、縫い目のないニット製品を作る「ホールガーメント横編機」を見学された。

 全国高校総体・行啓実施本部によると、同日の皇太子さまの訪問先や移動中の沿道では延べ1万5000人以上の県民らが歓迎した。

 皇太子さまは同日夕方、南紀白浜空港から帰京された。

谷岡さん㊧と会話される皇太子さま

谷岡さん㊧と会話される皇太子さま

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