公共放送、研究機関のあり方 衆院総務委の海外調査に参加

石田 真敏

NHKのニュースにも流れましたが、さる10月22日から7泊9日で、衆議院総務委員会の海外調査に参加しました。テーマは総務行政全般に及び、放送と通信が融合される状況でのNHKのような公共放送のあり方、また各国の地方行財政制度、さらに地域の中小企業などの高度化のための研究機関のあり方などです。
まず放送では、テレビでなくてもパソコンや携帯電話、スマホで視聴できる時代になり、この状況下で公共放送はどう維持するべきか、また民間放送はどうなっていくのかなど、同じ課題に直面しているドイツの公共放送バイエルン放送とフランスの公共放送フランステレビジョンを訪問しました。

ドイツでは「放送負担金」として、テレビ・ラジオ・パソコンなど受信機の種類や有無にかかわらず、すべての住居・事務所に賦課しています。すなわち「公共放送の番組は完全に技術中立で、放送局は番組を提供するのみで、伝送方法はケーブル・地上波・インターネット・衛星のすべてを利用する」との考えに基づいています。

またフランスでは、「視聴覚設置負担金」として租税に併せて徴収し、受信機を設置する者または法人が対象です。そして視聴方法の多様化にあわせ、インターネット接続デバイスへの対象拡大を検討しているとのことです。

独仏ともに罰則を伴う強制徴収である点、また広告収入を一部認めている点が共通しています。そのほか、ネットに流すコンテンツへの放送法のような規制のあり方、今後の地上放送や民間放送についてなど意見交換しました。今後の放送と通信のあり方を検討する中で参考にしていきたいと思います。

次に研究機関ですが、ドイツには4つの主な研究機構があります。基礎研究を行う機関、大型施設を利用して大規模研究をする機関、各州に設置されていた研究所を組織化した機関、そして7分野66研究所を傘下に持ち2万3000人の職員からなる応用研究を行うフラウンホーファー研究機構です。

とくにフラウンホーファーは地方創生の観点からも、いま日本で最も注目されている研究機関です。各地に分かれているフラウンホーファーの研究所は、地域の中小企業と連携して新製品を生み出し、州政府などの財政支援を得て世界の展示会への出展などを繰り返して大きな評価を得ることで、中小企業が世界的企業に育っています。日本でも何とかこのような仕組みができないものかと考えています。

フラウンホーファーが各地に66もの研究所を持つに至った理由が最も関心を持った点ですが、各地の大学や研究所にフラウンホーファー・クラブのようなものができ、活動を重ねて大きく育った時点で支部研究所になったとのことでした。そして、そのリーダーにはクラブを主導した地域の大学の教授などが就いているとのことです。

日本でも32の独立法人研究機関がありますが、これらを再編することで、応用研究に適した研究機関と各県の大学や公立試験場などを中心に、各地域が必要とする研究テーマに適う研究機構を設立して、全国的なネットワークを持ったものにできないものかと思います。そうすることで各地の中小企業が、全国レベルの研究支援を受けやすくなり、全国あるいは世界に飛躍できる企業に育っていく可能性が広がります。

いずれにしろ上昇志向の中小企業が、気軽に一流の研究者や研究所と共同研究や委託研究ができる仕組みを作りたいものです。

以上のほか、郵政事業、地方制度改革などを担っている関係機関やミラノ万博などを訪問し、意見交換や視察をしたところです。駆け足でしたが、非常に刺激を受け参考になりました。今後の活動に大いに生かしていきたいと思います。

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