150年前の和歌浦「明光浦十景」市に寄贈
19世紀の紀州の画家・岡本緑邨(おかもとろくそん、1811~1881)が和歌浦を描いた貴重な墨彩画「明光浦(めいこううら)十景図」が26日、和歌山市立博物館に寄贈された。
寄贈したのは、元市議会議員の寺井冨士さん(69)。骨董収集家の親類から譲り受け、価値の高い物と分かり寄贈を決めたという。
「明光浦十景図」は、140年から150年前の江戸時代後期から明治時代初期にかけて制作され、和歌浦(明光浦)周辺の10の景色が選ばれている。先人である紀州の文人画家・桑山玉洲(くわやまぎょくしゅう、1746~1799)の「明光浦十覧冊(じゅうらんさつ)」の構図を踏襲しつつ、鮮やかな濃淡をはじめ繊細な筆遣いで、緑邨独自のアレンジが加えられている。
市立博物館では現在、緑邨の作品2点を所蔵しているが、実際の風景を題材にした作品はない。「明光浦十景図」は保存状態も極めて良好であり、和歌浦の景観の変遷を知る上でも非常に貴重な資料と評価された。
市役所で寄贈式が行われ、寺井さんから寄贈を受けた尾花正啓市長は感謝状を贈呈。寺井さんは「和歌山に素晴らしい貴重な作品があることを多くの人に知ってもらいたい」と話していた。
同博物館は、来年12月をめどに、「明光浦十景図」を企画展で公開する考え。
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