根来寺で防火デー訓練 文化庁長官が視察

国民的財産である貴重な文化財を災害から守るため、防災意識を高める「文化財防火デー」の26日、岩出市と那賀消防組合は、同市根来の新義真言宗総本山・根来寺(関根眞教座主)で消火訓練を実施した。文化庁の青柳正規長官、消防庁の西藤公司次長らが視察に訪れ、緊迫した中で実践さながらに取り組まれた。

1月26日は、昭和24年に法隆寺金堂壁画が焼損した日にあたり、国は昭和30年にこの日を「文化財防火デー」と制定。文化庁と消防庁が協力し、この日を中心に毎年、全国的に文化財防火運動を展開している。

那賀消防組合管内には国宝や重要文化財が53件あり、訓練は毎年場所を変えながら実施。根来寺には国宝の「大塔」、重要文化財の「大師堂」「本尊三尊像」などがあり、今回の訓練には同組合や同市消防団、同寺自衛消防隊などから約80人が参加した。

訓練は、大塔の北側の樹木が落雷で出火し、強風で大塔に延焼の恐れがあると想定。職員が119番通報し、非常警報設備を鳴らした後、館内放送で自衛消防隊に火災発生を知らせた。同隊や消防団は、宝物の搬出や境内に設置している放水銃で初期消火を実施。駆け付けた消防隊も消火活動に加わり、延焼拡大を防ぐため、迅速な動きを見せていた。

訓練を視察した青柳長官は「文化財を次世代へ確実に保存、継承することが国民に課せられた責務。いかに文化財が大切かということを意識してもらいたい」と話した。

那賀消防の林照康消防長は「迅速かつ的確に活動され、初期の目的は十分達成された」と講評した。

あいさつする青柳長官㊧、国宝「大塔」付近で消火訓練にあたる参加者

あいさつする青柳長官㊧、国宝「大塔」付近で消火訓練にあたる参加者

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