生活の中のフラメンコ 舞踊家・小杉さん

和歌山市出身で地元を離れて約10年、東京などで活動を続けてきたフラメンコ舞踊家の小杉愛さん(40)が、ふるさとの同市に戻り、4月にフラメンコ教室を開講する。小杉さんがたどり着いたのは、劇場で魅せるような舞踊性の高いフラメンコではなく「生活の中のフラメンコ」。「フラメンコは『こうでなくてはならない』と、型にはまったものではありません。瞬間を共有するフラメンコの魅力をお伝えしたい。初心者も大歓迎です」と話している。

小杉さんは22歳の頃、和歌山市の森久美子さん主宰のフラメンコ教室で習い始めた。程なくして舞踊団の一員として公演に参加。アシスタント講師として、県内の教室で指導するようになった。

本場の空気にふれたいと、25歳でスペインに短期留学し、即興性を伴うフラメンコを体験。街角やちょっとしたパーティーで気軽に繰り広げられるフラメンコは、それまで経験してきた舞台のフラメンコとは違った。大きな戸惑いもあったが、本場で肌で感じたフラメンコにますます魅了されていった。さまざまな世代の人が、日常生活の中で自由にフラメンコを楽しんでいたことも印象的だったという。

帰国後は神戸市の阿藤久子フラメンコスタジオに所属。さらなる高みを目指して、再びスペインのセビージャへ。約4年間研さんを積み、帰国後は東京都内を中心にライブ活動を続けながら、各種コンクールにも出場。要望のあった個人にはレッスンを行ってきた。

フラメンコは唄と踊り、ギターの3つがそろって構成される芸術表現。その場の掛け合いを楽しみながら即興で演じられ、自分自身を自由に表現できることが大きな魅力だという。もちろん、即興ができるようになるには、踊りの深い知識や経験が必要になるが、初めの留学先で出合ったような、「生活の中にあるフラメンコ」を追求したいという。

小杉さんは「完成されたものだけがフラメンコではありません。年齢や体型に関係なく誰でも踊れ、靴がなくても、体一つあれば楽しめるもの。年齢を重ねるほどに素敵になる芸術。そんな魅力を一人でも多くの方にお伝えできれば」と笑顔で話している。

新中通のスタジオと、リビングカルチャー倶楽部・フォルテ教室で開講。子どもクラスもある。問い合わせは小杉さん(℡080・6140・1514)。

「フラメンコはシンプル、一方で奥が深い」と小杉さん

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