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和歌山さんぽみちプロジェクト

伊勢路旅⑳三重県度会郡大紀町

26日、27日にわたり開催された伊勢志摩サミットは無事閉幕。伊勢神宮内宮の宇治橋前で安倍首相がG7の首相らを出迎え、正宮前で記念撮影をする光景は、日本古来の悠久の文化・伝統・歴史を世界に印象付けるものであった。

サミット直前の3週は会場となった賢島(かしこじま)の歴史や志摩市の魅力を取り上げた。今週から舞台を熊野古道・伊勢路に戻したい。

紹介するのは紀北町の北東に隣接する「度会(わたらい)郡大紀(たいき)町」。同町は人口約8800人。町の一部が、かつての紀伊国の領域となる。

役場の程近くに、伊勢神宮の別宮にあたる瀧原宮(たきはらのみや)がある。そもそも、伊勢神宮は「神宮」と呼ばれ、天照大神を祭る「内宮」と豊受大神を祭る「外宮」、さらに両宮に属する「別宮」「摂社」「末社」「所管社」「別宮の所管社」を合わせた125社により構成され、それぞれ、伊勢市、松阪市、志摩市、度会郡の4町、多気(たき)郡の3町に鎮座している。

瀧原宮は別宮の一つで、内宮・外宮から最も離れた所に位置し、古くから「神宮の遥宮(とおのみや)」として尊ばれている。垂仁(すいにん)天皇の皇女・倭姫命(やまとひめのみこと)が天照大神を祭る御鎮座の地を求め、近くを流れる宮川を下流から上流へと進む途上で、この地に新しい宮を建てたのが起源といわれている。

鳥居をくぐると大きな杉の木が立ち並ぶ200㍍ほどの参道が続く。神宮と同じく20年に一度、式年遷宮が神宮の翌年に行われるため、境内は社殿を交互に建てられる配置となっている。

かつては、内宮を起点に伊勢路を進む旅人らが祈願に立ち寄ったであろう。心が改まる神聖で静寂の時を感じる瀧原宮へぜひ。

「瀧原宮」

「瀧原宮」

 

(次田尚弘/大紀町)