総理特使としてペルー大統領就任式へ チリも訪問し両国首脳と「津波防災外交」

二階 俊博

 参議院選挙終了後から間もなく、7月15日の閣議において、私は安倍総理の特派大使として、ペルーのクチンスキー新大統領の就任式に出席することが決定しました。私は、この際、日本と同様に過去に大規模な地震・津波の被害を受けたチリを訪問することを計画し、7月22日~30日までの日程でチリ・ペルー両国を訪問してまいりました。
 派遣団には福井照衆議院議員(高知県選出)・武田良太衆議院議員(福岡県選出)に加え、外務省・国土交通省・JICA(国際協力機構)の幹部も参加しました。また、和歌山県も津波等の自然災害分野での連携強化を目的に和歌哲也危機管理監を派遣しました。
 最初の訪問国であるチリではバチェレ大統領と会談し、昨年末国連で制定された「世界津波の日」について、草案の起草段階からチリが積極的に協力した経緯にふれ、謝意を述べました。これからは両国が中心となり全世界に津波防災に関わる啓発を行っていくことを提案しました。具体的には、本年11月5日(日本時間)に両国が南海トラフ巨大地震を想定した二国間合同の防災訓練を実施することで合意しました。
 また、バチェレ大統領とは両国の国交樹立120周年を迎える来年には両国の友好をさらに進化・発展させ、防災分野で両国が世界をリードしていくことで意見が一致しました。
 大統領との会談に先立ち、チリ外務省で開催された、「世界津波の日」制定記念シンポジウムに特別ゲストとして参加し、記念講演を行いました。会場には、11月に高知県黒潮町で開催される「世界津波の日・高校生サミットin黒潮」に参加するビセンテナリオ・イシドラ・ラモス高校の生徒6名も参加し、私は11月の来日を歓迎する旨のメッセージを伝えるとともに、この「若き津波防災大使」の今後の活躍に大きな可能性を感じました。
 次に訪問したペルーでは、大統領就任式を翌日に控えたクチンスキー大統領と私邸で約30分間会談し、今後の日ペルー関係について意見を交換しました。
 私からは大統領就任について祝意を表明するとともに、「世界津波の日」制定に際して感謝の意を述べました。
 クチンスキー次期大統領からは、南米で最も長い移民の歴史がある、日本ペルーの二国間関係をさらに強化したいとして、自動車、鉄道、鉱業分野での連携の他、日本の技術力に関心を示し、理系の大学間交流の推進に意欲を示しました。私は、わが国の高等専門学校(高専)制度を紹介し、人材育成について両国で検討に入ることで一致しました。
 翌日、私はペルー国会で開催されたクチンスキー大統領の就任式に日本を代表して出席、各国首脳らとも意見交換をしてまいりました。
 今回の南米訪問を通じ、両国は地球の反対側に位置しており、距離こそ約1万7000㌔を隔てていますが、両国で地震が発生すれば日本に津波が押し寄せ、東日本大震災の際はチリにも津波の被害が及んだことからも、まさに津波防災という課題に関しては、太平洋を挟んだ「隣国」であるとの認識を強くしました。これからも、この南米の「隣国」を含め世界各国と手を取り合って、「津波防災外交」を推進してまいります。

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