竹田さん天皇制と和の心語る 県神社庁70年

 県神社庁(庁長=九鬼家隆・熊野本宮大社宮司)の設立70周年記念神社関係者大会が和歌山市友田町のホテルグランヴィア和歌山で開かれた。約330人が出席し、作家で明治天皇の玄孫にあたる竹田恒泰さんが「日本再生への祈り」と題して記念講演した。

 来賓の仁坂吉伸知事は「観光客のおもてなしに求められるレベルが上がっている。神社の神主さんや氏子総代の方は知識人。ぜひ観光の分野でも能力を発揮していただきたい」とあいさつ。神社界の発展に貢献した功労者234人への表彰が行われ、代表して橋爪八榮加茂神社宮司が「地域と一体になって伝統ある神社を守っていきたい」と謝辞を述べた。

 竹田さんは、国際社会の中で日本を取り巻く環境が厳しさを増す中、「厳しい世界で生き抜くためにも、まずは自分たちのルーツを知る必要がある」との考えから、天皇制や日本人の精神性について熱く語った。

 天皇陛下のお気持ち表明を機に社会的関心が高まっている生前退位について、「陛下の御意志を尊重するべきだが、生前という言葉は負の要素を含む上、歴史では退位より譲位が使われてきたことを考えれば、譲位と表現するのが正しいのではないか」と述べ、神社界としての統一したメッセージがあっても良いのではと指摘した。

 日本の国家的特質として、「世界最古の国家であり、一部の局地戦闘を除き、対話を通じて統一国家を築いた」点を強調。歴代天皇には「国民のために国家がある」という精神が受け継がれていたからこそ、日本はこれだけ長く続いてきたと説明し、代表的な例として、「戦争責任は自分にある」とマッカーサーに語った昭和天皇や、被災地を訪れ住民に寄りそう現在の陛下を挙げた。

 幸福な社会・人生の実現に必要なことについては、「和の精神を大切に、世のため人のため努力すること」と話し、和の心に忠実な行動を呼び掛けた。

 参加した和歌山市の辻益廣さんは「昭和天皇の勇気あふれる行動を、もっと多くの人に知ってもらいたい」と話していた。

功労者への表彰などが行われた大会

功労者への表彰などが行われた大会

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