人の縁をつなぐ場に 三光寺で催し続々と

寺の大広間から聞こえてくるのは、にぎやかな出囃子や笑い声――。時には優雅な音色や美しい歌声が響くことも。和歌山市吹上の三光寺(西山光隆住職)ではことしの春から、演奏会や作品展などさまざまな催しを企画。檀家も、そうでない人も気軽に楽しく集っている。

多くの人が抱く、敷居が高い寺のイメージを取り払い、にぎやかに集える場にしようと、3月から檀家でつくる三光寺婦人会が中心となりイベントを企画。

これまで、シャンソンライブやクラリネットとサックスのジョイントコンサートを開き、いずれも約80人が訪れる盛況ぶり。和室や地下スペースなど、建物全体を存分に生かしたパッチワークの作品展も好評だった。

西山住職(48)は「寺はかつて、コミュニケーションの場として機能していた。寺の存在をもう一度見つめ直してもらう機会になれば」と期待を寄せる。

この日は、わかやま市民会館落語倶楽部「紀(しるす)の会」の寄席が開かれた。集まった約60人を前に、メンバーは「ぜんざい公社」「片棒」「芋俵」などを軽快に演じた。

同寺の先代の住職は音楽好きで、これまでにも本堂で演奏会を開いたり、展覧会を催したりしたことがあった。演奏会用にと、地下には15年ほど前にホールが備えられ、かつらぎ町の陶芸家・沖康史さんが手掛けた梵字をモチーフにした、圧巻の焼き物が壁面を彩る。

婦人会の会長を務める土井享子さんは「法事のことなど、気になる相談をしたい人も多いはず。また、日頃からお寺に足を運ぶことで、人生の終末の迎え方を大事にすることにもつながれば」と話す。

今後は、西山住職の趣味を生かしたレコード鑑賞会の他、縁結びイベントなども開きたいといい、西山住職は「安らぎの場であると同時に、人に集まってもらえる場にしたい。お葬式や法事の場のみでなく、人と人のつながりを持つ場であることを再認識してもらえる機会をつくっていきたいですね」と話している。

落語で笑いに包まれた大広間

落語で笑いに包まれた大広間

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