華岡青洲の人生に学ぶ 上名手分館の講演会
世界で初めて全身麻酔による乳がん摘出手術に成功した紀の川市出身の医聖・華岡青洲についての講演会が10日、同市立上名手小学校体育館で開かれた。四天王寺大学教育学部長の曽野洋教授が「今、青洲先生の複線型人生に学ぼう」と題して講演し、集まった地域住民約270人が偉人への理解を深めた。
那賀地区公民館上名手分館(谷脇誠館長)が、地域の歴史や文化を共有する活動の一環で主催し、ことしで3回目の開催となる。
曽野教授は、慶應義塾大学を卒業。教育学や歴史学を研究分野として、同大学や明治大学の客員研究員を務めている。
講演では、曽野教授が担当する新聞連載を資料に使用。紀州内外から多くの学生が青洲の診療所兼医学校「春林軒」の門をたたいた背景にふれ、卒業後の将来保証が明確な私塾であったと話した。
また、塾生が習得した医学に関する秘法や秘術は他門の人に漏らしてはいけないおきてがあったことを紹介し、司馬遼太郎は、秘密主義が強く門外不出を徹底させた青洲の在り方について好意的でなかったと説明。投薬の難しさを誰よりも痛感し、患者の側に立った治療を心掛けた青洲が採用した門外不出について「正解だったと思う」との見解を示した。
最後に、安倍晋三首相が掲げる「一億総活躍社会」へ示唆することとして、「複線型人生を送りやすくする制度設計が必要」と強調。少子高齢化社会に直面した日本経済を活性化する突破口になると説いた。
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