紀美野で地域おこし協力隊 水島さん活躍

 紀美野町小川地区に昨年11月、地域おこし協力隊として岡山県出身の水島千絵さん(47)が移住し、住民と共に地区の活性化を目指して活動している。町が特定地区に協力隊を委嘱するのは初めてで、水島さんは、地域の伝統や技を次世代に伝える仕組みづくりや、町外から来てもらえるイベント企画などに取り組みたいと抱負を話す。

 移住前は進学、就職のため東京で約30年暮らし、音楽関係の仕事や飲食業、接客業などに携わってきた。東京で勤めていた接客業の店が閉店することになり、地元に戻るか、興味があった農家民泊のゲストハウスを運営するかなど、今後の生活を考えていた。

 ゲストハウスを開く場所の条件として「海」「大都市」「実家」に近い山間部を探していたところ、仕事で和歌山を訪れる友人から紀美野町について聞き、興味が湧いた。昨年6月には東京で開かれた協力隊のセミナーと移住相談会に参加した。

 同町が募集していた協力隊の業務は、小川地区の直売所をメーンとした活性化▽和歌山大学と連携した教育振興▽廃校舎を活用した活性化――の三つがあり、いずれも経験はなかったが「直売所で働いているイメージができた」と応募し、昨年8月に合格通知を受けた。また1泊2日で同町を訪れ、民泊施設や古民家カフェなどを観光し、紀美野で暮らすイメージを描いた。

 11月1日に寺本光嘉町長から委嘱状を受け、小川地区の活性化に取り組む「小川の郷づくり会」(日浦英二会長)のメンバーと共に活動。昨年12月には小川小学校で開催された「冬まつり」でイルミネーション作りに参加した他、あいさつも兼ねて季刊誌「おがわのせせらぎ通信」を創刊し、回覧板で地区の住民に届けた。

 移住から約2カ月がたった。故郷の岡山も自然豊かなまちで、「環境の変化に違和感はありませんでしたね」と水島さんはにっこり。また「協力隊の受け入れが初めての地区なのに、メンバーで話し合い、すんなり受け入れてくれてありがたかったですね」と感謝を込める。

 今月15日には「小川の郷直売所」(毎月第1・3日曜日)の店頭に立ち、買い物客らとふれあいながら、出品者から届けられた農産物や加工品を販売。「人柄がいい」とメンバーは口をそろえ、日浦会長は「小川地区を選んで入ってきてくれてうれしい」と、水島さんの活躍に期待を寄せている。

 水島さんは季刊誌製作の他、地区で手作りされているコンニャク、みそなどの文化を広く知ってもらおうと、誰でも参加できる体験会の準備を進めている。

直売所で買い物客とふれあう水島さん㊧

直売所で買い物客とふれあう水島さん㊧

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