春の海をたゆたう人形 淡嶋神社で雛流し
古くなり、役目を終えたひな人形を供養する伝統の「雛(ひな)流し」が桃の節句の3日、和歌山市加太の淡嶋神社(前田光穂宮司)で行われた。
雛祭りは元々、同神社の祭りとされ、古くは祭神の少彦名命(すくなひこなのみこと)にちなんで「少彦名祭」とも呼ばれていた。人形に罪やけがれを託して流す祓(はらえ)の儀礼だったが、次第に人形が装飾的になり、平安末期には3月3日に行う女の子の祭りの形式になったという。
この一年で全国から同神社に奉納された雛人形は約4万5000体。おはらいなどの「雛納式」を本殿で行った後、600体の雛人形が3艘の舟に分けて乗せられ、参拝者によって地元の海岸に運ばれた。
前田智子禰宜が雛人形をねぎらう祝詞を奏上し、舟を海に流した。舟と、みこがまいた紙吹雪が春の海をたゆたう光景に、詰め掛けた参拝者やカメラマンらは何度もシャッターを切っていた。
長女の心晴ちゃん(3)と初めて来た和泉市の田中由美さん(32)は「春の訪れを感じる神事で、この子が健やかに成長してくれるよう願います」と話していた。
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