高架下で磨く技 注目のストリートサッカー

金曜日の夜になると、和歌山市の紀和駅高架下にはサッカーボールを持った子どもたちが集う。舗装されたアスファルトや石畳の地面で、スニーカーを履いた中学生らが器用にボールを扱い、相手の股の下を通そうと足技を繰り出す。今、注目のストリートサッカーを取材した。

サッカーは、パスやドリブルを駆使し、相手のゴールを狙うスポーツ。通常は練習着やユニホーム、スパイクを着用し、土や芝生のグラウンドで行われる。しかし、ストリートサッカーの服装はカジュアルで、動きやすければ何でもいい。ルールは大会ごとに異なるが、1対1の個人戦や3対3のチーム戦があり、設置されているゴールの大きさや使用するコートの広さはサッカーに比べると格段に小さい。

最大の魅力は、専門用語で「PANNA(パナ)」と呼ばれる股抜きだ。大会によっては、股抜きした時点で勝利が確定することもある。もちろんゴールにボールを流し込めば得点になる。ボールを奪おうと、うかつに足を出せないという面白さがある。ボール保持者は磨き上げた技を駆使し、相手の足を開かせようと試みる。

使用するボールは通常の5号ボールより小さく、小学生用の4号球より大きい4・5号球。従来のサッカーボールより跳ねにくい構造で、固い地面でもグラウンドムーブ(ドリブル)ができるようになっている。

同駅の高架下を拠点に活動するのが「IRIE PANNA」だ。小学2年生から中学2年生までの5人で構成し、指導者はいない。日本のトップチームである「PANNA HOME」から送られてくる動画を参考にして、それぞれが技を磨き上げる。

チームの仁坂静臣君(13、楠見中)と、桒原(くわはら)その子さん(13、楠見中)は、日本で期待を集める注目株だ。世界を代表する一流選手との対戦経験もあり、日々、高みを目指して練習に励んでいる。

仁坂君は、各地の大会に出場し、優勝経験を持つ日本を代表するプレーヤー。6年生のころにストリートサッカーにふれ、その魅力にのめり込んだ。目標は「世界の標準レベル以上の選手」と意気込む。桒原さんは、女子ストリートサッカー界のこれからを担う期待のホープ。「世界に行ってみたい」と高い志を抱く。

チームを見守る仁坂君の父・恵三さん(36)は「これからどんどんストリートサッカーが盛り上がれば」と展望を話している。

「ストリートサッカーを盛り上げよう」と仁坂君(前列中央)、桒原さん(同左)ら

「ストリートサッカーを盛り上げよう」と仁坂君(前列中央)、桒原さん(同左)ら

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