漁業経営のグループ化推進 県が新支援制度

 県は本年度、水産業の収益性向上に向け、複数の漁業者がグループを組織し、新たな漁業分野に進出する場合に、設備投資の一部を補助する新たな支援制度を開始した。本年度の一般会計当初予算に1285万円を計上。漁業経営の構造改革を推進し、県内水産業をより収益性の高いものへと強化を図る。

 県内の水産業は漁獲量の減少や魚価の低迷、従事者の高齢化など多くの問題に直面している。県によると、海面漁業・養殖業の生産額(1経営体当たり)は、平成16年の676万円から同25年には586万円まで減少している。

 県水産振興課などによると、県はこれまで、「漁業近代化資金」を通じて、漁船や漁具の購入などの設備投資を行う漁業者を支援している。信用漁業協同組合連合会(信漁連)や農林中央金庫から漁業者が融資を受ける際の利子1・7%のうち1・3%を県が補給しており、年間約20件の利用があるという。

 単一の漁業に依存した形態では経営が不安定であり、不漁や燃料高騰など経営環境の一時的悪化による廃業のリスクが高いことから、新制度では、複数の漁業者によるグループをつくり、現在の漁業を継続しつつ新しい分野に進出する場合、必要となる漁船や養殖設備などの取得に必要な経費の2分の1を補助する。上限は500万円。交付は漁業協同組合を通じて行う。構想段階で一部の漁協に示したところ、肯定的な反応があったという。

 この他、経営に比較的余力がある漁業者を中心にいくつかの漁業者を統合させる「複船経営」を推進することも計画しており、漁業者が希望する場合は相談に応じる。

 県は本年度からの新長期総合計画に複合経営グループと複船経営体の数値目標を盛り込んでおり、平成38年度には複合経営グループ20、複船経営体100を目指している。

 同課は「経営のグループ化により、初期投資が安く抑えられる。成功事例をつくり、新たな取り組みが周辺に広がればと思っている」と話している。

収益性の高い水産業の創出へ(写真はイメージ)

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