新時代に必要な教育とは 変化のスピードに対応を

石田 真敏

 先日、2020年までの5カ年にわたる第5期科学技術基本計画の下、来年度の重点的な取り組みなどを示す「科学技術イノベーション総合戦略2017」の策定に向けた協議が自民党でなされました。これは前回ご紹介した、目標とする新しい社会「society5・0」を実現するための計画で、11のシステムなどを掲げ「世界で最もイノベーションに適した国」に変革すべく推進するものです。
 最近では、安倍総理が新たに成長戦略に位置づけ、政府として本腰を入れて取り組むことになりました。今後の進む方向が明示されただけに感度を十分高くして対応していくことが重要であり、以下に紹介します。
 ①エネルギーバリューチェーンの最適化…革新的な省エネ・蓄エネ・創エネ技術の開発など
 ②スマート・フードチェーンシステム…革新的食糧生産・流通技術・バイオ産業基盤技術など
 ③スマート生産システム…IoT、AI、ビッグデータ解析等を活用した生産性向上など
 ④高度道路交通システム…自動走行システム、関連技術開発など
 ⑤健康立国のための地域における人とくらしシステム…健康等情報の利活用、看護・介護等サービス支援技術、遠隔医療など
 ⑥新たなモノづくりシステム…革新的ものづくり技術開発(3Dプリンター、ロボットなど)など
 ⑦統合型材料開発システム…革新的素材・材料開発技術など
 ⑧効率的で効果的なインフラ維持管理・更新の実現…革新的技術(i―constructionなど)
 ⑨自然災害に対する強靭な社会の実現…革新的防災・減災、保安技術開発など
 ⑩おもてなしシステム…革新的おもてなし技術開発(自動翻訳、接客ロボットなど)
 ⑪地球環境情報プラットフォーム…革新的気候変動適応技術開発など
 以上の実現に向け、産官学オール・ジャパン体制で取り組むことになっています。おそらく、2020年には社会や経済に大きな変化をもたらし、さらに2030年ごろを目指してさらなる革新がなされ、まさしく「society5・0時代」が到来するものと考えられます。
 そこで最近の私の問題意識は、今後生じる「society5・0時代」の課題です。社会のあり方をはじめ社会保障、産業、生活、地方のあり方などに大きな革新をもたらすことが想像されます。なかでも喫緊に取り組むべき課題は、「society5・0時代の教育」です。
 いま「子ども保険」や「教育の無償化」が話題ですが、最も大事なことは、これからの子どもにどのような教育が必要なのかです。その実現のため、限られた予算をどこにどの程度つぎ込むのか、総合的に英知を集めて、検討すべき時と思います。
 その上で、国民の理解と協力を得て必要な財源を確保し、現在の教育制度、教育内容を新しい時代に見合ったものに見直し、子どもたち一人一人が将来の社会において安定して豊かな生活を送れる、生きる力を身につけるようにしていかねばなりません。
 横軸には年齢別に、最近指摘されている幼児教育の重要性、初等・中等教育での読解力強化や落ちこぼれ防止、クラブ活動や習い事の重要性、STEM教育などが挙げられます。さらに高等教育でのトップ人材・グローバル人材・ローカル人材に応じた教育、地域産業に密着した地方大学のあり方、社会人以降のリカレント教育や生涯学習などもあります。そして縦軸には、それぞれの段階に応じた最先端技術を取り込んだ教育制度・内容の見直し、また貧困家庭対策などを含めて検討していかねばなりません。
 変化のスピードは凄まじく速いだけに、早急な対応が必要です。

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