幽玄の世界に酔う 日前宮薪能に800人

和歌山市秋月の日前宮(紀俊武宮司)が主催する第42回「日前宮『薪能』」が26日、同境内で催され、暗闇に浮かぶかがり火のもと、約800人がおかしみあふれる狂言や優美な能の世界を楽しんだ。

大蔵流の茂山宗彦さんによる狂言「口真似」では、主人の命令を忠実に守る太郎冠者の様子と、巻き起こる一騒動がユーモアたっぷりに演じられた。

続いて、観世流の分林道治さんが、能楽「巻絹」を披露。熊野三山を舞台に、歌の功徳を語ったもので、同市の観世流能楽師・小林慶三さんに指導を受ける、同市出身で近畿大学工業高等専門学校2年生の宮楠昂之さんも巻絹を運ぶ使者役で出演。到着が遅れて縄にかけられるも、歌の上の句を詠み、巫女(みこ)が下の句を詠むことで解かれる姿を堂々と演じた。その他、分林道隆さんの仕舞「経正(つねまさ)」、小林さんの仕舞「山姥(やまうば)」も披露された。

和歌山大学教育学部4回生の華山恵志朗さん(22)は「初めて見ました。動きもゆったりとして独特。時間の流れを感じながら、全く別の空間に来たような、幽玄と呼ばれる世界を感じられたように思います」と笑顔で話していた。

巫女役の分林さん㊧と使者役の宮楠さん

巫女役の分林さん㊧と使者役の宮楠さん

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