愛と冒険の「魔笛」 和歌山市民オペラ協

和歌山市民オペラ協会(多田佳世子会長)の第22回定期公演「魔笛」が20日、市民会館小ホールで開かれた。

オーケストラや合唱を含め総勢約120人が出演。満席となった聴衆は美しい歌声に聴き入り、崇高な愛と冒険の物語を楽しんだ。

同作はモーツァルトが最晩年に書いた音楽劇で、同協会での上演は3回目。演出は一昨年の「夕鶴」に続き、人気演出家の岩田達宗さんが手掛けた。

物語は娘のパミーナ姫を奪われた女王が、王子タミーノに魔法の笛を、鳥刺しの青年パパゲーノに魔法の鈴を与え、姫の救出を依頼。2人は姫を救い出し、王子は試練を乗り越えた後に姫と結ばれ、パパゲーノも恋人に巡り会い結ばれるというあらすじ。矛盾や苦悩の中でも現実に向き合おうとする人間の姿や、素晴らしくも痛みを伴う愛が、荘厳な音楽とともに描かれた。

夜の女王役を同協会の久保美雪さん(ソプラノ)、パミーナ役を井谷有紀さん(同)、パパゲーノ役を国際的に活躍する晴雅彦さん(バリトン)が熱演。陽気なシーンには笑いももれ、カーテンコールでは「ブラボー」の観声と大きな拍手に包まれた。

オペラ鑑賞は初めてという同市の40代の女性は「特に夜の女王、パミーナの歌声、お芝居ともに素晴らしくて、感動しました」と笑顔で話していた。

魔法の鈴に導かれて旅するパパゲーノ(左から2人目)ら

魔法の鈴に導かれて旅するパパゲーノ(左から2人目)ら