引きこもり親支援の講演会 21日市民図書館

 引きこもりや不登校の若者の一番身近にいる「親」を支援しようと、NPO法人「レインボーハウス」(和歌山市弘西)が21日、同市湊本町の市民図書館で講演会「弱音も出せる人が周りにいますか」を開く。

 外の世界と疎遠になりがちな子どもと日々接し、家の中で孤軍奮闘している親たち。同法人の土井広行さんは「一人で何もかも背負い込み、誰にも相談できずに孤立している方が多い。子どもに一番身近な親を支えることで、間接的に子どもたちを支えたい」と話す。

 レインボーハウスは平成9年、「子どもたちの居場所」を目指して施設を開所。さまざまな事情で学校に登校できない子どもや社会に出られない青年に居場所を提供している他、電話相談や親同士の交流会も開いている。

 20年にわたる活動の中で、土井さんは「自分の子育てが悪かった」「いつまでこの状態が続くのか」と自分を責め、子どもを責め、疲れ果てた親たちを多く見てきた。「焦らず見守ろう」と思っていても、家でゴロゴロしていたり、昼夜逆転の生活を送るわが子の姿に「見守るだけでは長期化するのでは」との不安が募る。心の弱った子どもが、怒りの矛先を暴力や暴言といった形で親に向けることもある。土井さんは「家という密室空間では親も子も煮詰まり、悪循環が起こる。愚痴でもよいので、『しんどい』と気持ちを吐き出し、話を聞いてもらえる場があることが長い目で見て大切」と話す。

 毎月1~2回のペースで開かれている交流会では、「なんでうちの子が」「私が悪い」などと親たちが弱音をこぼし合う。答えは出ないが、同じ立場の者同士、気持ちを理解し合える部分も多く、終了後には「少し心が軽くなった」と言って帰る人もいる。

 「皆が行く学校に『行かない』というのは、子どもにとって出したくない最後の切り札。それを出してしまったということは、体のエネルギーが空っぽになってしまったということ」と土井さんは分析する。一見、怠けているように見えても、再び動き出せるよう力をため、もがいている状態なのだという。

 これまで延べ1万5000人以上の子どもたちに接してきたが、「諦めている子は一人もいなかった」ときっぱり。どんな状態になっても自分を見捨てない親や家族の存在は、いつか再び歩み出す原動力になる。「親は家に居させてあげるだけで十分。しんどくなったら肩の荷を下ろしにきてほしい。いつでも私たちがいます」と話している。

 講演会は午後1時10分から。参加無料。申し込み不要。問い合わせはレインボーハウス(℡073・462・3060)。

「肩の荷を下ろしにきて」と土井さん

「肩の荷を下ろしにきて」と土井さん