学校図書の充実を 吹上小育友会が280冊贈る

 学校図書を充実させたいと、和歌山県和歌山市立吹上小学校育友会(北田洋一郎会長)が昨年10月から家庭で眠っている児童書の寄付を呼び掛けたところ、2カ月で約280冊が同校に寄せられた。図書の購入を増やしたいが、学校予算には限りがある。「多感な時期の子どもたちにたくさんの本にふれてほしい」と保護者が動いた。

 同校図書室は、本の蔵書冊数は十分あるものの、古いものや、子どもたちに人気のあまり傷みが激しく補修を重ねた本も多い。かねて保護者でつくる図書ボランティアらから「何とかならないか」と声が上がっていた。

 きっかけは、1年前に開いた育友会主催のバザー。提供品の中に小学生向けの本が多く含まれていたことから、「寄付を募れば本を出してくれる家庭があるのでは」と考えた。

 昨年10月に児童の家庭に手紙を配布し、「読まなくなった児童書があれば提供して」と呼び掛けたところ、『赤毛のアン』や『アンデルセン童話』などの名作から、子どもに大人気の『かいけつゾロリ』『ハリーポッター』シリーズ、学習漫画などが次々に集まった。ほとんどの本が状態も良く、十分活用できるものだったという。

 本には一冊一冊「寄贈」シールを貼り、表面を保護フィルムで覆ってから大切に本棚に並べた。6年生の吉野友麻さん(12)は「今まで古い本が多かったので、きれいな本が入ってうれしい」とにっこり。休み時間には早速子どもたちがやって来て、新しくなった本棚の前に集まり、しゃがみこんで本を読み始めた。

 柏野貴之校長は「本は子どもたちの世界を広げてくれる。読書環境を整えるため取り組んでくださり大変ありがたい」と感謝。担当した育友会の一ツ田由香子さんは「初めての試行的な取り組みだったが、子どもたちが喜んでくれうれしい。今後もできれば続けていきたい」と話した。

寄贈された本の入った棚に集まる児童たち

寄贈された本の入った棚に集まる児童たち