日本産の「米」を世界の食卓へ 中国への輸出拡大交渉が進展

二階 俊博

 昨年12月末、私は6日間にわたり「日中与党交流協議会」に参加するため、中国の福建省と北京を訪問致しました。訪問団には自民党から国会議員18名と公明党から井上義久幹事長を筆頭に5名の国会議員が参加しました。また、和歌山県の仁坂吉伸知事や三重県の鈴木英敬知事にもご同行頂きました。
 日中関係は昨年の5月を境に大きく流れが変わり、厳しい関係が暫く続きましたが、両国の努力の結果、「春暖」の時を迎えたといえます。私は昨年2度北京を訪問しましたが、いずれも習近平国家主席と直接会談を行い、率直な意見交換ができました。日中関係の改善は、緊迫する北朝鮮情勢を考えたとき、非常に重要であることは当然ですが、経済面でも中国市場で経済活動を続ける日本の民間企業や、中国人観光客が多く訪問する全国の自治体関係者にとって朗報であるといえます。
 昨年末の訪中に際し「春暖」を象徴するかの様に、これまで政府間において全く進展が見られなかった問題が動き始めました。日本産の「米」の中国向け輸出拡大です。中国は日本の生産量の約20倍にあたる1億トン以上の年間消費量を誇る巨大市場を抱えます。一方日本では、高品質ながら年々消費量が減り続けており、日本の米農家にとって中国への輸出拡大は悲願でもあります。しかしながら、この問題は日中関係の悪化に伴い、完全に暗礁に乗り上げ、解決の糸口すら掴めない状態が長く続いて来ました。
 私は安倍総理に相談の上、昨年5月の訪中時にこの問題の責任者である中国政府高官(閣僚級)に初めて面会を申し込みました。これまで、日本政府が交渉を要求しても全く応じて来ませんでしたが、この時は中国側も要請に応じ、交渉をスタートさせました。それ以降、日本側は農林水産省と外務省がプロジェクトチームを立ち上げ事務レベルの往来を繰り返し行ってまいりました。再び、昨年末の訪中の最終日、私を帰国直前に昼食に招待してくれたのは、5月に交渉を始めた政府高官でした。私はその際のやり取りの中で、中国側の誠意ある対応を感じ、そう遠くないうちにこの問題は大きく前進する確信を得ました。またその席上、先方から、東日本大震災以降、中国へ輸出規制対象とされている、福島県周辺の10都県の日本産食品について、段階的な規制の撤廃や緩和に向けて本格的に協議する意向が示されました。この事は、震災からの復興に取り組む、現場の生産者の皆さまに大きな勇気を与えるニュースとなりました。
 本年は日中平和友好条約が締結され40年目を迎えます。この間、世界情勢は大きく変化し、もはや日中関係は単なる二国間の関係ではなく、世界中が注目する関係へと進化しています。私たちは常に長期的展望を持って、共に未来を創る努力を続けなければなりません。
 今や、全国各地で中国を含め多くの外国人観光客をお迎えする時代となりました。是非、日本人のおもてなしの心と文化や風習を体験して頂きたいと思います。中でも、「和食」に代表される食文化は日本の「誇り」でもあります。世界中に「和」の心が「通う」ことを願い、世界の食卓に日本のおいしい米が届くよう全力を尽くしたいと思います。

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