アベノミクスは「永遠の道半ば」 アドバルーン作戦はもうゴメン

岸本 周平

笛太鼓ではやされたアベノミクスですが、もう5年が経ちました。物価上昇率2%の目標は実現できず、なんと6回も達成時期が先送りされました。安倍総理が胸を張るように、失業率は減少し、今や完全雇用状態なのに、賃金は上がりません。総理自ら、財界に3%の賃上げをお願いするしまつです。日銀と公的年金で買い支えてきた官制のいびつな株式市場も、今や乱高下しています。財政のバラマキの結果、プライマリーバランスの改善目標も7年間先送り。第3の矢の成長戦略も、潜在成長率は下がり続けて結果は出ていません。
都合が悪くなって出したアベノミクス第2弾。目標にした2020年GDP600兆円の実現も不可能です。同じく、希望出生率1・8や、介護離職ゼロの目標も実現できないので、安倍総理は一言も言わなくなりました。待機児童ゼロの目標は2017年でしたが、これも3年先送りです。
女性活躍では、取締役会の女性比率3割を目標に掲げましたが、その後、頬かむりをしたままです。2013年に10年後の農業所得倍増を打ち上げましたが、5年経ってもまったく進んでいません。これも先送り。2020年までに、年間10万人超の東京への人口流入をプラスマイナスゼロにすると言いましたが、昨年、まだ12万人の人口流入が続いています。あの「プレミアムフライデー」はどうなったのでしょうか。実施企業は7%止まりでした。
打ち上げた政策が効果を発揮しないので、国民の目先を変えるために、次から次へとアドバルーンを上げ続ける安倍内閣。飽きっぽい子どもが、宿題をしかけては放り投げるようなものです。
その矛盾を指摘されると、安倍総理は「まだ道半ば」だと答えるのみ。これでは、「永遠の道半ば」になってしまいます。
それでも、こりずに来年度予算では、「人づくり革命」、「生産性革命」というアドバルーンを上げています。「革命」という過激な言葉を使っていますが、その目玉の3―5歳児の保育無償化は、待機児童をそのままにして、子どもを預けられる人とそうでない人の不公平感を倍増させ、高所得者ほど得になる格差拡大政策です。働き方改革では、残業時間の上限規制(月100時間)に踏み込んでいますが、残業代ゼロ法案との抱き合わせになっています。そもそも、月の残業上限の100時間は過労死の基準です。
安倍総理、アドバルーン大作戦は、そろそろお止めになってはどうですか。

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