がんの親子の支援イベント 28日サントピア

 和歌山県和歌山市東長町のサンドイッチ専門店「サントピア」で28日午前10時から午後3時まで、がんになった親とその子どもたちを支援するチャリティーイベントが開かれる。同店代表の森下佳子さんが、かつて夫をがんで亡くした自身の経験をもとに企画した。森下さんは「当時を思い出しつらかったが、ようやく気持ちの整理がつき話せるようになった。私と同じように悩み苦しんでいる方に、こんな活動があることを知ってほしい」と参加を呼び掛けている。

 森下さんは15年前、夫・直幸さん(故人)のがん宣告を受けた。当時中学2年生の一人息子がいたが、どう説明すればよいか分からず、1年ほど伝えなかったという。直幸さんは入退院を繰り返し、3年半後に他界。森下さんは「これでよかったのだろうか」と後悔と自責の念に苦しんだ。夫のケアや入院の付き添いで息子のことに構う余裕もなかったが、落ち着いてくると「あのときどう伝えたらよかったのか」「子どもはどう考えていたのだろう」と気になった。

 あるとき、インターネットでNPO法人「HopeTree(ホープツリー)」の活動を知った。がんになった親を持つ子どもをサポートする活動を行う団体。身近な人ががんになると、患者本人のケアばかりに目が行きがちだが、子どもも「これから自分はどうなるのか」と大きな不安を抱え、気を遣いながら生活している。森下さんは「患者のサポートは当然必要だが、同時に子どもを支えるという視点が抜け落ちていた」と振り返る。

 今回のイベントは、趣旨に賛同した近所の人たちが快く協力してくれた。定休日の店を利用し、手作りアクセサリーや体に優しい素材の小物、新鮮な有機野菜や紅茶などの販売の他、ドライフラワーを瓶詰めする「ハーバリウム作り」(定員16人、1300円)や小さい布で髪飾りを作る「つまみ細工」(1000円)などのワークショップを行う。寄せられた協賛金や募金は同NPO法人に贈る。

 森下さんは「がんは予期せず起こり、家族の生活は一変する。同じ思いで悩んでいる方の力になりたい」と話している。問い合わせはサントピア(℡073・426・2080)。

「同じ思いをされている方の力になりたい」と話す森下さん

「同じ思いをされている方の力になりたい」と話す森下さん

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