安倍総裁続投が国益に 外交・安保などに存在感

石田 真敏

 いよいよ自民党総裁選が始まります。
 以前に総裁選挙が行われたのは6年前、旧来の自民党政治への厳しい批判で政権を失った時期です。派閥解消など自民党をどう変えるか、また民主党に代わってどのような政治を行うかが争点となりました。
 一方で今回は、昨年の総選挙時に私が訴えた「将来の日本を左右する課題」への対応が争点になると思われます。
 ①外交・安全保障
 日米を中心に強烈な圧力を加えた結果、世界を驚かせた米朝首脳会談が行われましたが、まだまだ北朝鮮問題は予断を許しません。また、「新たな大国関係」や「一帯一路」などの方針で影響力を増す中国とは、基本的人権、自由、法の支配など基本的価値を共有できていないだけに、注意深い対応が必要です。とくに情報通信や人工知能、IoTセンサーなどの進展による情報の集積は、監視機能の強化など監視・管理社会につながりかねません。
 ②Society5・0の推進
 狩猟・農耕・工業・情報社会に続く第5の社会を意味し、IoTや人工知能、次世代通信、準天頂衛星、バイオテクノロジーなどの革新的技術によってさまざまな課題を解決し、新しい経済社会を目指す構想で、政府が強力に推進しています。
 教育・社会保障・産業・雇用・地方のあり方・生活など社会全般に大きな変化をもたらすだけに、早期に全力で取り組まねばなりません。
 ③防災・減災対策
 雨の降り方が変わりました。もはや異常気象でなく気候変動です。従来の延長線上の発想でなく、排水設備の充実や堤防の整備など事前防災に全力で取り組む必要があります。
 また、地震・津波による被害を最小限にするため、国土強靭化対策も必要です。
 ④人生100年時代への対応
 政府に「人生100年時代構想会議」が設置されました。人生100年時代をどう生きるかは、高齢者のみならず若者にもきわめて重要です。健康・働き方・年金・生きがいなど多岐にわたる課題に取り組む必要があります。
 ⑤地方創生
 政府では地方創生とともに、地方制度調査会で将来を見据えた新しい自治のあり方について議論を始めました。
 地方の衰退は待ったなしです。一方、東京一極集中の是正も待ったなしです。地方の特性を活かしSociety5・0を活用した産業や観光などの振興、さらに東京一極集中の是正を強力に推進するとともに、新しい自治のあり方を見出さなければ取り返しがつきません。
 以上の課題にどう取り組み「安心の未来を築くか」が、今回の総裁選の判断基準になると考えます。
 そういう中で特に外交・安全保障については、基本的価値の異なる米中が主導権を争う重要な局面下で、G7やG20のサミットにおける日本の存在感は過去最高です。日本では世界の中で存在感のあるリーダーを希求し、平成元年より政治改革や行政改革などに取り組み、そこにトランプ氏やプーチン氏をはじめ各国首脳と一定の信頼を築けた安倍晋三という人物を得た結果です。
 現在、安倍氏に代わって国際舞台で同様の存在感を示せる人はいません。一方で他の課題についても、安倍政権では概ね方向性を違わず取り組んでいます。それだけに引き続き安倍氏に頑張ってもらうことが、国益に大いに資することになると思います。
 ただ、批判を浴びた点、また今日までの政治改革・行政改革に伴う弊害については、真摯に批判を受け止め、改めるべきは改めるべきであることは言わずもがなです。

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