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和歌山さんぽみちプロジェクト

西条藩を知る(6)街中で自噴「うちぬき」の存在

うちぬき(石碑+噴水)

 前号では、西条松平家の家紋「隅切り葵」や地域の祭り、産業の歴史などを展示する西条郷土博物館を取り上げた。今週は、旧西条藩の中心であった西条陣屋から範囲を広げ、西条市の街並みを紹介したい。
 西条市内を歩くと至る所で水が自噴する井戸の存在に気づく。西条陣屋がある市役所および伊予西条駅の一帯(旧西条市内)を自噴域とし、確認されているだけで約二千箇所。噴出量は一日あたり9万立法㍍とされる。これらの井戸は「うちぬき」と呼ばれ、名水百選にも選ばれている。
 水が自噴する理由は市の山間部に位置する「石鎚山(いしづちさん)」の存在。標高1982㍍、西日本最高峰の山で、ここから流れる伏流水が石鎚山系の麓にあたる西条市の地下を流れる。地上から15~30㍍程度、鉄パイプを打ち込むだけで良質な水が自然に湧き出すという仕組み。
 故に西条市は「水の都」と称され、1995年と96年に開催された全国利き水大会で2年連続トップに選ばれるなど全国に知られる存在。地下水であるため四季を通じて温度変化が少なく、生活用水をはじめ農業用水、工業用水まで幅広く活用されている。1991年に旧西条市が行った調査では75%もの市民がうちぬきの水を生活に役立てているとされ、今も、うちぬきにペットボトルやポリタンクを持参し水を汲む市民を目にする。
 うちぬきが一般的になったのは江戸中期とされる。今と変わらず鉄の棒を地面へ打ち込み、くり抜いた竹を入れることで地下から地上への水路を確保する工法により広まったとされる。水の都・西条市は当時の人々の知恵と行動により築かれている。
(次田尚弘/西条市)