「稲むらの火」継承を宣言 高校生サミット

 和歌山県和歌山市手平の和歌山ビッグホエールで2日間にわたり開かれた「世界津波の日」高校生サミットin和歌山が1日に閉幕。国内から49校186人、海外からは史上最多47カ国・地域の293人が参加し、災害に関する知識と意識を高めるための議論を行い、命を守るための行動などを呼び掛ける「稲むらの火継承宣言」を採択した。

 安政南海大地震で津波から村人を救った濱口梧陵の「稲むらの火」の故事から「災害から命を守る~『稲むらの火』発祥の地、和歌山で濱口梧陵の精神を共に学ぶ~」を全体テーマに掲げ、「災害について知識を得る」「災害に備え意識を高める」「災害から生き抜く」の三つのテーマで発表会とディスカッションを実施した。

 全体会では、世界津波の日の提唱者である二階俊博自民党幹事長が登壇。「若き津波防災大使として学んだことを広く伝え、被害が一人でも減るように努力してほしい」と高校生に語り掛けた。

 分科会の各グループが議論の結果を報告。災害時に信頼できる情報を発信することや、津波を経験したことがない若者の関心を高めること、幼少期から災害について学ぶことなど、必要なアクションが示された。

 「稲むらの火継承宣言」には、避難を助けるユニバーサルデザインの掲示作りや、全ての高校生が自然災害について学校で学べるように情報を共有することなどが盛り込まれ、高校生議長の中井充歩さん(日高高3年)と伊森安美さん(串本古座高2年)が読み上げた。

 閉会時には稲むらの火に敬意を表し、会場の高校生や一般参加者がオレンジ色のライトを点灯し、議長がトーチを掲げ、高校生が防災意識を高め、世界各地で行動していくことを再確認した。

 サミットを終え、中井さんは「良いものにしたかった。つながりができた国との輪をこれからもサミットで広げ、高校生の力で発信できたら」、伊森さんは「いろんな国と話し合ったことを未来につなげてほしい。もし災害があっても、サミットで築いた絆で助け合えると思う」と今後につながる希望を話した。

「稲村の火」に敬意を示し、オレンジ色のライトとトーチを掲げる高校生ら

「稲村の火」に敬意を示し、オレンジ色のライトとトーチを掲げる高校生ら

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